研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究の期間内(令和3-5年度)に、以下に示す4つの項目に関する実験項目を行い、宿主の感染微生物(RNAウイルス及びトキソプラズマ原虫に対する自然免疫において、イムノコンドリアとしての役割を解明する。① 近位依存性ビオチン標識法(BioID)を用いた未知タンパク質群の同定② 自然免疫とミトコンドリア・ダイナミクスを繋ぐmiRNA(機能性小核酸)の探索及び同定③ 培養細胞を用いたイムノコンドリアの機能解析④ 実験動物モデルを用いたイムノコンドリアの生理機能解析
ミトコンドリアは、真核生物における生命活動を行う上で必須のエネルギーを産生するオルガネラである。近年、このミトコンドリアは感染微生物に対する宿主・自然免疫のプラットフォームとしても関わることが分かってきた(イムノコンドリア)。一般に、ミトコンドリアの形態は特徴的で、教科書などで描かれるピーナッツ状の構造体としてはほぼ存在せず、細胞質全体に管状の網様構造を形成・分布し、ダイナミックに融合・分裂を繰り返す(ミトコンドリア・ダイナミクス)。ミトコンドリア・ダイナミクスは生物進化の過程でも保存されてきたシステムとも思われ、細胞の恒常性を保つ上で不可欠の現象と考えられている。このようなミトコンドリアのダイナミックな特性は、イムノコンドリアの仕組みを理解する上で有用な手掛かりになり得ると考えた。本研究では、「哺乳動物におけるミトコンドリア・ダイナミクスの理解に基づいた生理機能の解明、特に感染微生物への生体防御(自然免疫)」について探究することを目的とした。そこで該当年度は、前年度までに見出したイムノコンドリア関連の調節タンパク質の生理的な役割を理解するための実験を行った。
2: おおむね順調に進展している
該当年度は、細胞内寄生虫(トキソプラズマ)と宿主ミトコンドリアとの相互作用に関する実験系を構築し、その生理的な意義を考察した。具体的には、前年度までに見出した宿主・ミトコンドリアと相互作用する原虫由来タンパク質(Tg.GRA25)がミトコンドリア外膜タンパク質(MitoPLD)と結合することで、ホスファチジン酸とも選択的に結合することを見出した。特に、Tg.GRA25とホスファチジン酸との相互作用は、詳細なin vitro解析(Phospholipid Assayやリポソームフローテーションアッセイなど)からも確かめられたことより直接的な結合であることが分かった。最後に、in vivoによる実験から、Tg.GRA25は宿主内での寄生胞膜形成にも関わること明らかにした。
今回、トキソプラズマ原虫の宿主内での生活環の一部を明らかに出来たために、今後はこれらの成果を原著論文としてまとめる作業に移行する。
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