研究課題/領域番号 |
21K19430
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 亮 京都大学, 医学研究科, 助教 (70817931)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 意思決定 / マカクサル / オプトジェネティクス / 腹側被蓋野 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの精神疾患は、現状では症候群として一括りにされているだけで、病因に関する理解が十分でない。従って何を治療の標的とすべきかが見えていないのが課題であり、その脳神経基盤の解明が急務とされている。そこで、精神疾患の症候として最も顕著であるギャンブル依存症患者に見られるような過度のリスク嗜好など「意思決定」の障害の神経機構解明から、その回復を目指す治療標的を見出すことが本研究の将来展望である。本研究では、脳神経回路に直接アプローチ可能で、さらにヒトに近い脳回路基盤を有するマカクサルを対象とし、光遺伝学的手法による神経路選択的な操作により神経回路レベルでの長期介入による治療戦略モデルを提唱する。
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研究成果の概要 |
HH-LL課題遂行中のサルVTA-vlPFC/dlPFC経路の選択的一過性活性化による行動の変化が実験日を超えて蓄積するかを光遺伝学的手法による神経路選択的操作により検討した。VTA-vlPFC経路の繰り返し刺激により、HH選択傾向を示し、この回路がリスク依存的意思決定に重要な枠割を担うことが示唆された。さらに、VTA-dlPFC 経路の選択的一過性活性化により長期的なLL選択傾向への移行を観察した。リスク嗜好性の緩和にVTA-dlPFC 経路が重要な役割を担う可能性を示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
精神障害の根本原理の解明と治療法の開発が現代医療の最大の課題の一つともいえる中、本研究では光遺伝学技術を用い、巨大脳を有するマカクサルでのオプトジェネティクスを成し遂げた。神経回路の起始停止を定め直接的に活性化及び不活性化を施すことで、意思決定機能の細部に正確かつ直接的に作用した。光遺伝学的手法による神経路選択的な操作を用いた神経回路レベルでの長期介入から、リスク依存的意思決定様式の形成過程を示す脳内機構の解明を試みた研究は過去に見られない。ヒトの意思決定様式の形成過程を示す脳内機構の解明と、精神神経疾患の治療戦略モデル提唱に向けた実証的な結果が得られたといえる。
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