研究課題/領域番号 |
21K19490
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
紙谷 聡英 東海大学, 医学部, 准教授 (30321904)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 肝のう胞 / 流体デバイス / iPS細胞 / 多発性肝のう胞 / 多能性幹細胞 / 多発性肝のう胞症 / ゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトiPS細胞は体内のあらゆる臓器に分化可能で、難治性希少疾患など治療法が確立されていない疾患の創薬・病態解析の有用なツールと考えられ、それを用いた創薬基盤技術の確立が本研究の目的です。ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞・胆管前駆細胞誘導法とゲノム編集技術、さらにPDMSオンチップ流体デバイスを組み合わせ、ハイスループットに添加薬物をスクリーニングできる系を構築します。遺伝子変異によって肝内胆管の異常に伴う多発性肝のう胞症をin vitro肝組織として再現し、それを治療可能な薬物の同定を目的とします。
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研究実績の概要 |
本研究では、肝疾患のメカニズム解析・創薬スクリーニングに向けて、ヒトiPS細胞から肝臓組織への分化誘導系を駆使した次の研究項目を推進する。 1.自己凝集能を用いたヒトiPS細胞由来肝組織の形成法の確立 2.多発肝のう胞症を模倣する疾患ヒトiPS細胞由来肝組織系の構築 3.PDMS流体デバイスを用いた、ハイスループット評価システムの作製 1に関しては、ヒトiPS細胞から持続増殖可能な肝前駆細胞を誘導し、凍結保存や長期増殖、また必要に応じて成熟肝細胞へ分化誘導が可能な細胞を単離した。この細胞を用いることで、平面や細胞外マトリクス包埋培養によって肝の組織化が可能な条件を検討している。2に関しては、共同研究者が行っている多発肝のう胞のヒト疾患患者のゲノムシークエンス結果から、新規の多発肝のう胞発症に関わる制御因子の候補を探索している。これらの因子を解析する系として、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いてin vitroでヒトiPS細胞由来肝前駆細胞・肝細胞でゲノム編集を誘導する系を構築した。AAVにCas9タンパク質と対象となる遺伝子に対するgRNAを導入することで、効率的なin-del変異が誘導可能である。さらにCsa9を発現するプロモーターを工夫することで、細胞特異的なゲノム編集が可能となる。3に関しては、1,2の結果をもとにデバイスの作成などを進めており、肝臓の自己凝集を効率的に行うデバイスなどを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトiPS細胞を使った疾患解析系としては、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞、肝細胞培養系の樹立や3次元培養系、さらにAAVを用いて、in vitroで効率的にゲノム編集を誘導できる系を立ち上げている。今後、共同研究先が同定した新規ヒト肝のう胞疾患関連因子のゲノム編集などを予定しており、今まで不明だった新規の作用機序などの解明を期待している。一方で、流体デバイスに関しては、上記の細胞系の研究を先行させたために一部遅れている部分がある。
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今後の研究の推進方策 |
1.AAVを用いた新規in vitroゲノム編集系を用いて、培養系において多発肝のう胞を誘導できるような新規因子の同定を目指す。 2.上記のヒトiPS由来肝細胞系・胆管細胞系を効率的に培養可能な流体デバイスの開発を推進する。
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