研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究計画は、呼吸器の基礎研究、疾患研究を大きく変革させる、完全合成培地によるヒト肺胞オルガノイド培養法の確立を目指すものである。大学病院で採取されたヒト肺組織から肺胞幹細胞を単離し、線維芽細胞や血清を含まない完全合成培地でヒト肺胞オルガノイドを作成する技術を確立することを目的とする。その研究目的を達成するため、(1)新鮮な生体ヒト肺組織の入手、(2)ヒト肺胞オルガノイドに適した培養条件の開発、(3)ヒト肺胞幹細胞の継代と保存技術の開発を実施する。
本研究は、ヒト生肺組織から肺胞幹細胞を単離し、ヒト肺胞オルガノイドの作成技術を開発することを目的としている。既報のマウス肺胞オルガノイド用の培地を適正化することで、線維芽細胞や血清を含まない完全合成培地を確立し、ヒト肺胞オルガノイドの作成に成功した。神戸大学病院の協力を得て、新鮮なヒト生肺組織を使用し、AT2細胞を単離した後、肺胞オルガノイドを作成した。しかし、継代するとスフェア形状が変化してしまうことから、改善の余地があると考えられる。これにより、ヒト呼吸器疾患である肺線維症のin vitroモデルを構築し、AT2細胞のDNA損傷により隣接する筋線維芽細胞の誘導に成功しました。
ヒト肺胞オルガノイド培養の条件を確立できたこと、また肺線維症オルガノイド培養を確立できたことで、以下のような社会への貢献が期待できる。(1) 呼吸器疾患の研究と治療法開発: ヒト肺胞オルガノイドの作成技術を活用することで、呼吸器疾患の研究が促進される。(2) 新薬の開発と効果評価: ヒト肺胞オルガノイドを利用した新薬の効果評価や副作用の検討が可能となる。(3) 個別化医療の推進: 患者固有の肺疾患や治療反応を再現するin vitroモデルの構築により、個別化医療の実現が可能となる。患者に適した治療法の選択や治療効果の予測ができるようになるかもしれない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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Stem cells (Dayton, Ohio)
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https://www.riken.jp/press/2023/20230831_4/index.html