研究課題
挑戦的研究(萌芽)
ゲノムワイド関連解析で多くの自己免疫疾患感受性遺伝子が明らかになったが、本研究では残された遺伝因子として内在性レトロエレメント配列の遺伝子多型に注目する。ロングリードシークエンス技術を用いて、日本人の不死化B細胞株における全ゲノムシークエンス(WG-seq)および網羅的発現解析(RNA-seq)を行う。これによって発現量に個人差をみとめるレトロエレメントRNAおよびその発現量を制御する遺伝子多型を網羅的に明らかにする。また、これらのレトロエレメント多型を関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性筋炎でジェノタイピングし、自己免疫疾患発症に関わる多型を同定する。
本研究では、自己免疫疾患におけるレトロエレメント配列の役割を明らかにすることを目的とした。まず、日本人のB細胞株(n=27)のロングリード全ゲノムシークエンスを行うことにより、レトロエレメント多型のカタログを作成した。またIFN-α刺激したB細胞株のロングリードRNA-seqを行い、163,747 種のRNA カタログを作製した。約8割は新規のRNAであり、一部はレトロエレメントを含む未知の遺伝子領域から転写されるものであった。また、これらのRNAの発現に影響する遺伝子多型を網羅的に明らかにし、ゲノムワイド関連解析データと統合解析することによって、自己免疫疾患に関わるものを網羅的に同定した。
本研究は、いまだ全貌が明らかになっていない自己免疫疾患の病因メカニズムについて、ゲノム上の未開拓領域であるレトロエレメントから迫るものである。本研究では、自己免疫疾患に関わるレトロエレメント由来のRNAを網羅的に明らかにしたが、これらの解析によって整備されたRNAカタログは、自己免疫疾患以外の様々な疾患の病因解明につながる貴重なリソースになると考えられる。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Nature Genetics
巻: 54 号: 11 ページ: 1640-1651
10.1038/s41588-022-01213-w
Nature Communications
巻: 13 号: 1 ページ: 4659-4659
10.1038/s41467-022-32358-1
Journal of Human Genetics
巻: 67 号: 12 ページ: 739-742
10.1038/s10038-022-01071-8
Annals of the Rheumatic Diseases
巻: 81 号: 9 ページ: 1273-1280
10.1136/annrheumdis-2022-222345
巻: - 号: 6 ページ: 845-853
10.1136/annrheumdis-2021-221464
bioRxiv
巻: -
10.1101/2021.12.30.474578