研究課題/領域番号 |
21K19513
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分54:生体情報内科学およびその関連分野
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
日野 信次朗 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (00448523)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | クロマチン / 環境応答 / 細胞記憶 / epigenome reader / 代謝可塑性 / エピゲノム / H3K4メチル化 / 環境記憶 / 代謝体質 / 生活習慣病 |
研究開始時の研究の概要 |
胎児期や幼少期の成育環境が加齢後の体質や疾患リスクと結びついていると考えられているが、その仕組みはわかっていない。食事や運動などの環境刺激によってDNAやヒストンタンパク質の化学修飾(エピゲノム)が変化し、その環境ストレスが遺伝子レベルで記憶される。本研究では、エピゲノム記憶を生み出す仕組みを解明するために、epigenome readerと呼ばれるタンパク質群に焦点を当て、その分子機能を解析する。細胞が環境ストレスを記憶する仕組みを遺伝子レベルで解明し、生活習慣病の治療・予防に資する成果を目指す。
|
研究実績の概要 |
環境摂動によって表現型が決定される現象は、自然界ではしばしば見られる。近年、同様の現象がヒトの体質形成や疾患発症にも関係すると考えられている。本研究は、このような現象の基盤となる環境応答性エピゲノム記憶形成機構の解明を目的として実施している。 本年度は、筋芽細胞を用いて一過性ストレスに対するクロマチン構造変換をATAC-seq法により検討した。この結果を元に、細胞記憶形成に関わるクロマチン制御因子の候補を同定し、これらの機能解析を実施した。 また、ミトコンドリアストレスに応答してクロマチン構造変換を誘導する分子機序を解明した。その仕組みは、代謝ストレス応答転写因子c-Junと物理ストレス応答転写因子TEAD/YAPとヒストン修飾因子群の共役により成り立っていた。 これらの成果は、環境ストレスが細胞レベルで記憶される仕組みの一端を明らかにするものであり、代謝疾患等様々な慢性疾患の病態解明に貢献する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、本年度までに環境ストレスに対するクロマチン構造の長期変化の全体像を解明することができ、制御因子の候補を同定することができた。また、ミトコンドリアストレスを感知してクロマチン構造変換を行う分子機構を解明することができた。これらの成果は当初の研究目的に大きく貢献するものであるため、本課題は順調に進捗していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度までの進捗を踏まえて、環境応答性エピゲノム記憶形成の詳細な分子機序の解明と生体内における実態解明を目指して研究を実施する。 1. 環境応答性エピゲノム記憶形成の分子機序 これまでに同定しているエピゲノム形成因子の機能解析を行う。エピゲノム形成における役割の解明や相互作用タンパク質の同定等を試みる。さらに、新たな制御因子の同定を機能スクリーニングにより実施する。 2. 環境応答エピゲノム記憶の生体内における実態 これまで培養細胞を用いた実験により見出したエピゲノム・クロマチン構造変化が実際に生体内で検出できるかを検討する。また、環境応答エピゲノムの生体維持における役割を検証する。
|