研究課題/領域番号 |
21K19543
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
二渡 信江 東邦大学, 医学部, 准教授 (40306600)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 癌/精巣抗原 / KK-LC-1 / H. Pylori / 肺癌 |
研究開始時の研究の概要 |
癌/精巣抗原とは、癌に特異的に発現しているがん抗原のひとつであり、診断や治療に貢献できる可能性がある。がん抗原とは、がん細胞についている特有のたんぱく質のことで、KK-LC-1抗原はその癌/精巣抗原に分類される抗原である。 ピロリ菌感染は、胃癌の発生に関与していることは知られているが、胃以外の疾患の発症に関与している可能性も示唆されている。肺癌ではピロリ菌感染の関連については調査されておらず、ピロリ菌が肺癌の発生に関与している可能性を調査したいと考える。本研究は、肺癌患者のピロリ菌感染率を調査し、肺癌組織でKK-LC-1発現を調査し、ピロリ菌感染が肺癌誘発の因子となりうるかを研究する。
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研究実績の概要 |
癌/精巣抗原(Cancer/testis antigens, CTAs)はがん抗原のひとつであり、あらゆる組織癌で発現し、免疫原性を有しているたんぱく質であり、癌特異的な発現パターンから癌の治療・診断に貢献できる可能性がある。Kita-kyushu lung cancer antigen-1 (KK-LC-1)抗原は、その癌/精巣抗原に分類される抗原であり、胃癌では約80%、肺癌では約30%に発現がみられている。 ピロリ菌感染が、胃癌の発生に関与していることは知られているが、胃以外の疾患(心血管疾患、血液疾患、糖尿病、特発性パーキンソン病など)の発症に関与している可能性も示唆されている。胃癌においてピロリ菌感染とKK-LC-1発現は関連していると報告しているが、ピロリ菌感染と肺癌発生の関与については研究されていない。肺癌は、非小細胞肺癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)、小細胞癌と組織型が多様であり、KK-LC-1発現している肺癌に組織学的な特徴があるか、またKK-LC-1発現している肺癌とピロリ菌感染との関連があるかを調査することは、肺癌の早期発見や治療に有用となる可能性があり、臨床的な意義があると考える。 本研究は、肺癌患者のピロリ菌感染率を調査し、肺癌組織でKK-LC-1発現を調査し、ピロリ菌感染が肺癌誘発の因子となりうるかを研究する。2021年からの肺癌手術症例数で調査可能であった症例は48例であった。KK-LC-1発現率は34.7%と以前の報告と同様であり、ピロリ菌感染者は21.7%と少なかった。しかし、まだ症例数が少なく評価はできていない。今後も症例を集積して調査を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナによる手術症例数の減少もあり、2021年度は18例、2022年度は30例の症例を集積した。KK-LC-1陽性は34.7%と以前の報告と変化はみられないが、ピロリ菌陽性は21.7%であった。症例数が少なく、有意差検定もまだできていないため、今後も症例数の集積をしていく。
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今後の研究の推進方策 |
症例数をさらに増やし、臨床病理的因子を含めて、肺癌におけるKK-LC-1発現症例の特徴と、KK-LC-1発現とH.pylori感染に関連性があるかどうか調査していく。 また、肺癌の予後規定因子としてKK-LC-1発現が有効であるかどうかも調査していく。
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