研究課題
挑戦的研究(萌芽)
間葉系幹細胞を用いた治療が各領域で研究されており、その抗炎症作用に注目が集まっている。一方臨床効果には個人差が大きく, 投与するMSCの多様性に一因があると考えられる。我々のこれまでの研究で、滑膜に炎症調節機構を担う細胞が存在することが分かった。本研究ではシングルセル解析を用いてsynovium-resident antiinflammatory cellの正体を解明するとともに、MSCの中で抗炎症作用の強いサブセットの同定に挑む。更に前者を特徴づけるシグナルを利用することで、synovium-resident antiinflammatory cellの特性を有するMSC製剤の開発を目指す。
間葉系幹細胞はリンパ球の増殖、活性を抑え、過剰な炎症を制御する作用を有することから、変形性関節症を始め、幅広い疾患の治療に用いられている。一方、関節内の滑膜には多種多様な線維芽細胞が存在し、中には関節の炎症を抑制する作用を有するサブセットがいることも想定されてきた。本研究では、手術の際に得られるヒト変形性関節症患者の滑膜検体を解析し、滑膜線維芽細胞のサブセットの中に、免疫細胞の過剰な活動を抑制する作用を有するサブセットを同定した。このサブセットは内皮細胞と共通のマーカーを発現しており、T細胞の増殖を抑制することが分かった。現在はこのサブセットを人為的に誘導する条件を検討している。
関節の恒常性維持や変形性関節症の病態を握る鍵は滑膜であることが分かっており、また我々のこれまでの研究によって、間葉系幹細胞を用いた変形性関節症治療の作用点は滑膜であることも明らかとなっている。滑膜がどのように関節を維持しているかを知る手がかりが明らかとなったことで、間葉系幹細胞を用いた治療を改善させる余地が生まれたほか、新たな変形性関節症の治療法開発に繋がる可能性も期待される。
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 5件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 11件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)
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