研究課題/領域番号 |
21K19561
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西田 佳弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (50332698)
|
研究分担者 |
小池 宏 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80846080)
伊藤 鑑 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50880308)
藤戸 健雄 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70976357)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 骨巨細胞腫 / 破骨細胞 / オフラベル / 薬剤開発 / 臨床試験 |
研究開始時の研究の概要 |
骨巨細胞腫を初めとする破骨細胞増殖性疾患に対して、従来の薬剤とは異なり、副作用少なく効果が認められる治療薬を開発することを目的とする。原発巣再発および多発転移を有する骨巨細胞腫患者において、支持療法として使用した薬剤Xに著明な抗腫瘍効果を認めた。15年以上にわたって腫瘍縮小を維持し、長期の継続使用で副作用を認めていない。また、in vitro実験で薬剤Xが破骨細胞分化を抑制する結果を得た。本研究では、薬剤Xの濃度、分子量、投与頻度による効果の違い、PDXマウスモデルでの非臨床POCの取得、従来の薬剤で重大な副作用のある患者への臨床研究としての薬剤Xの効果を検証し、薬剤Xの保険適用をめざす。
|
研究実績の概要 |
(1)薬剤Xの濃度、分子量(分子量によって効果の違いが報告されている)、塩の違い(NaとCa)によるin vitroにおける破骨細胞分化抑制効果の違い:RAW264.7 (マウス腹水由来の単球マクロファージ)細胞株にいてRANKL刺激により破骨細胞分化実験系確立。分子量については低分子(4,500程度)と未分画(6,000-20,000)製剤を用い、未分画製剤については塩の違い(NaとCa)による効果の違いを評価し、分子量の違いおよび塩の違いで破骨細胞分化抑制効果の異なることを明らかにした。 (2)Patient Derived Xenograft (PDX)モデルによるin vivo実験:近藤正先生(国立がん研究センター)は3種のヒト骨巨細胞腫株を樹立した。これらの細胞株を用いてマウスPDXモデルの作成は困難であるとの情報を得ているが、安定した単層培養系は確立されており、またspheroid形成は認められるため、薬剤Xの骨巨細胞腫単核細胞への影響を解析する実験計画を作成した。 (3)特許出願:発明の名称を「破骨細胞増殖性疾患の予防又は治療剤」として特許出願申請済み(出願番号:2020-213717)。 (4)薬剤Xによる臨床研究:薬剤Xが著効している患者Aに対して引き続き、投与継続し、薬効を確認している。また副作用の発現のないことを確認している。当院の先端医療・臨床研究支援センターと薬剤Xを用いての特定臨床研究の立案を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
安定した破骨細胞分化の実験系により、薬剤Xの有効な分子量、塩の種類、および薬剤の濃度を特定した。また特許申請を実施し、特定臨床研究の実施に向けて立案している。薬剤Xが著効している患者Aにおいては骨巨細胞腫病変の再発が認められた。しかし、病理学的所見を確認後、薬剤Xの投与頻度を元に戻したところ、病変のサイズアップは認められず、コントロールされている。また、重篤な有害事象は認められていない。
|
今後の研究の推進方策 |
薬剤Xの有効な分子量、濃度、適切な塩を用いて、患者から樹立したヒト骨巨細胞腫株の単層培養系に対する影響を評価する。薬剤Xは破骨細胞分化の抑制効果を有するが、骨巨細胞腫単核細胞への影響は少ないと予想している。 切除不能な骨巨細胞腫を有し、デノスマブを継続投与している経過中に顎骨壊死などの有害事象を生じ、デノスマブの投与を中止する必要がある患者に対して、薬剤Xを用いた特定臨床研究を実施する。患者著効例、破骨細胞分化に対する薬剤Xの効果を解析した結果については論文化して投稿、出版を予定している。
|