研究課題/領域番号 |
21K19586
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60374948)
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研究分担者 |
濱井 瞭 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00824004)
塩飽 由香利 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (80736190)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | インプラント / バイオマテリアル / リン酸カルシウム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,研究代表者らが先にいくつかの骨芽細胞活性化因子が特異吸着することを報告したリン酸八カルシウム(OCP)材料に関して,OCPのナノ結晶生成誘導技術を導入することにより,生理的環境におけるOCPのナノ結晶/タンパク質複合体の自発的生成および拡散を促し骨形成促進が可能となるか調べ,活性型の骨補填材の開発を検討する.生体内環境でOCPの溶解とOCP上でハイドロキシアパタイト(HA)形成を促進する条件となる過飽和度調節性の非晶質材料を共存させ,OCPナノ結晶/血清由来タンパク質複合体生成を誘導することで広範囲な骨欠損領域で細胞活性化が生じるか検証し,活性型の骨補填材の開発を検討する.
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研究実績の概要 |
骨の欠損を修復する材料として骨アパタイト結晶の組成に類似し,生体親和性に優れるハイドロキシアパタイト(HA)をはじめとしたいくつかのリン酸カルシウム材料が臨床応用されている.しかしながら,これらのリン酸カルシウム材料がどのような作用機序で骨組織を再生し,骨伝導を発現するかは十分に解明されていない.リン酸カルシウム材料のうちリン酸三カルシウム(β-TCP)やリン酸八カルシウム(OCP)は,生体吸収性を示す材料として知られ,骨の再生には吸収に至る機序および骨再生へ転換するプロセスの解明が求められている.本研究では,血清に含まれる骨芽細胞活性化因子が特異吸着することを報告したOCPの結晶材料を由来とする溶解産物の生成および骨組織再生におけるその影響を調べ,骨補填材としての高機能化に資する情報を得ることを目的とする.そのため,2022年度は2021年度に比較検討したいくつかの血清由来タンパク質に関し,異なる無機イオン濃度環境とタンパク質の水溶液中における存在状態の関連性を旋光度により評価した.また,イオン環境,吸着親和性,タンパク質存在状態の間の関連づけを試みた.また,水溶液中におけるリン酸カルシウム存在の影響についても同様に検討した.その結果,リン酸カルシウムは結晶相に応じて水溶液中で飽和して特定のイオン環境を呈することでタンパク質の存在状態にも影響を及ぼす可能性があることが示唆された.これらの結果に基づき,生理的環境下におけるOCPの溶解に関連したタンパク質の存在状態を定量化し,活性型骨補填材の開発設計に向けた血清由来タンパク質について情報を取得した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
水溶液中のタンパク質存在状態の測定を実施するために種々の溶液条件を検討した.測定可能な溶液環境条件をさらに絞り込む必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に測定した血清タンパク質の吸着親和性,溶液中の存在状態の情報に基づき,2023年度は,いくつかの血清由来タンパク質が親和するリン酸カルシウム材料を用意し,生理的環境下におけるin vitroでの間葉系幹細胞の増殖分化に及ぼす材料の調製条件の決定,マウスの脛骨欠損をモデルとした骨再生への効果を評価する.以上の検討から,血清由来タンパク質の親和性に関連して活性化を期待するリン酸カルシウム骨補填材の設計指針の確立に取り組む.
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