研究課題
挑戦的研究(萌芽)
唾液腺から産生されるムチンには病原微生物に対して生態防御機能を果たしていることが知られている一方で、細胞内外でのムチンタンパクの機能と免疫担当細胞との相互作用に関して十分に理解されていない。本研究では、唾液腺ムチンの一つであるMUC19遺伝子に変異を有するシェーグレン症候群疾患モデルマウスを中心にして、免疫プロテオミクス解析にて、ムチンタンパクの糖鎖形成の異常と自己免疫疾患の発症機序を解明することが目的である。本研究構想は、唾液腺で産生されるムチンタンパクの構造あるいは機能に着目することで、免疫恒常性における新たな制御機構を見出すととも自己免疫疾患の新しい発症機序の解明を目指している。
SS疾患モデルマウス(NFS/sld)におけるMuc19の発現減少が唾液腺における自己免疫病変発症に関与していることを明らかにした。Muc19 mRNA発現ならびにムチンの量を検討したところ、対象群に比較して、SS疾患モデルの唾液腺でのMuc19 mRNA発現およびムチン量共に低下していることが判明した。さらに、移植片対宿主病(GVHD)モデルを用いてMuc19を介した炎症性病変に関して検討を加えたところ、Muc19の変異を有するマウスをホストにすると唾液腺での炎症性病変の発症頻度が対象群に比較して高くなっていることが明らかになった。
本研究は、唾液腺で産生されるムチンタンパクの構造あるいは機能に着目することで、免疫恒常性における新たな制御機構を見出すととも自己免疫疾患の新しい発症機序の解明に繋がる内容である。また、昨今のウイルス感染と唾液ムチンとの関係性にも極めて重要な新知見をもたらす可能性がある。SS疾患モデルマウスではMuc19が唾液腺での免疫学的トレランスの破綻に重要な役割を果たしていることが示された。本研究構想は、唾液腺で産生されるムチンタンパクの構造あるいは機能に着目することで、免疫恒常性における新たな制御機構を見出すととも自己免疫疾患の新しい発症機序の解明に繋がる萌芽的でオリジナリティに富んだ内容である。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 1件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 15件) 学会発表 (44件) (うち招待講演 4件)
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