研究課題/領域番号 |
21K19606
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 教授 (50546471)
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研究分担者 |
森 康雄 九州大学, 大学病院, 助教 (90573345)
奥 菜央理 九州大学, 歯学研究院, 助教 (60898972)
古田 美智子 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (20509591)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 口腔常在微生物叢 / 舌苔 / 16S rRNA |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では造血細胞移植患者と重度要介護高齢者の口腔常在微生物叢に関する調査を行うことで、外部から侵入する微生物に対するバリアとして機能している常在微生物叢が破綻した口腔に定着する微生物種を網羅的に把握し、予後への影響の解明を目指す。本研究により感染管理において見過ごされてきた崩壊した口腔微生物叢という潜在的感染源の詳細が明らかになるとともに、有病者や脆弱高齢者において原因不明とみなされてきた予後不良に関与する微生物の発見も期待できる。
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研究実績の概要 |
本年度は前年度から継続して九州大学病院における造血細胞移植患者の被験者登録を進めた。造血細胞移植患者12名を対象者として登録し、入院後移植前の歯科受診を行った際に研究参加への同意を取得し舌中央部から舌苔検体を採取した。同じ患者から移植当日と移植3週後に同様の方法で舌苔検体を採取し微生物叢構成の変化を追跡した。舌苔の細菌構成解析は検体から微生物群集DNAを抽出したのちPCR法を用いて細菌16S rRNA遺伝子V1-V2領域を網羅的に増幅し、次世代シーケンサーIon GeneStudio S5を用いて塩基配列を決定した。各移植患者の臨床情報を取得し細菌構成の変化と臨床情報との関連について検討した。また移植日数日以内に対象者の肛門スワブ検体を取得し、舌苔検体と同様に16S rRNA遺伝子を利用する細菌構成解析法を用いて細菌構成を決定した。舌苔細菌構成と肛門スワブ検体の細菌構成を比較することで飲み込まれた口腔微生物の腸管への移行について検討した。加えて移植当日には舌苔微生物叢解析用の検体とともに舌苔スワブ検体を採取し血液寒天培地、ブドウ球菌選択培地、薬剤耐性菌選択培地に塗布し菌体の取得を試みた。この方法で対象者の舌苔からブドウ球菌数株が分離された。加えて過去の調査にて舌苔を採取した在宅ないし施設入所高齢者の細菌構成解析結果を再解析し、造血細胞移植患者同様に通常口腔ではみられない細菌種の有無を探索した。加えてrrna遺伝子ITS領域を用いた網羅的真菌叢解析法を用いて異常真菌の検出について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は新型コロナウイルス感染症蔓延の影響が落ち着きを見せてきたことから九州大学病院での対象者登録を加速させることができた。また取得した検体の一部については細菌叢解析を完了し移植周術期の舌苔微生物叢の変化の大まかなパターンを見出すことができた。さらに腸管微生物叢と舌苔微生物叢の細菌構成の一致点と差異、口腔微生物の腸管への移行の度合いについても把握することができた。高齢者の細菌構成解析についても分析の方針を見出すことができた。九州大学病院での調査については予定登録者数には未だ満たないものの、全体としては概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も造血細胞移植患者の対象者の登録と微生物叢解析を順次進め完了する。脆弱高齢者の調査においてはロングリードシーケンサーを用いた過去の調査で取得した検体の16S rRNA遺伝子全長に基づく微生物叢構成解析を遂行し、異常定着菌の特定を進める。
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