研究課題/領域番号 |
21K19608
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
友清 淳 九州大学, 大学病院, 講師 (20507777)
|
研究分担者 |
前田 英史 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10284514)
和田 尚久 九州大学, 大学病院, 教授 (60380466)
杉井 英樹 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80802280)
吉田 晋一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (30778866)
小幡 純子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70759448)
糸山 知宏 九州大学, 大学病院, 助教 (50884433)
小野 太雅 九州大学, 大学病院, 助教 (90884734)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 歯周組織再生 / 神経堤細胞 / iPS細胞 / WNT signaling / 低分子化合物 / 歯根膜幹細胞 / 賦活化 / ゲノム創薬 / 歯周組織再生薬 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病は、歯を支持する歯周組織を破壊することで歯の動揺や疼痛を引き起こし、重度の 場合には抜歯が必要となることもある。その一方で、破壊された歯周組織を再生させる決定 的な治療法は、未だ確立されていない。また歯周病は、世界的に極めて高い罹患率を示す疾 患であることから、世界規模で歯周病患者の歯周組織再生を実現するためには、発展途上国 のような、歯科医療設備が十分整っていない環境下でも実施可能な治療法を開発する必要がある。本研究では、iPS細胞の遺伝子情報から得られた情報を基に、歯根膜に存在する神経堤細胞を賦活化させ、歯周組織の再生を促進する革新的歯周組織再生薬を創出することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
幹細胞は組織の再生に重要な役割を示すことは以前から知られているが、その数は極めて少量である。申請者らは、歯根膜組織に存在する幹細胞の一つ、神経堤細胞(NC)を賦活化し歯 根膜幹細胞(PDLSC)へと分化させ、歯根膜組織内のPDLSC数を増加させることで、歯周組織の再生を誘導するという、新しい歯周組織再生療法の開発を目指している。 これまでに申請者らは、低分子化合物スクリーニングを行い、HXCと同様にNCからPDLSCへの分化を促進する化合物の同定を試みた。スクリーニングの結果から、PDLSCのマーカーであるCOL1, FBN1, OPG, POSTNのうち、4種類の発現を上昇させるものを4化合物、3種類の発現を上昇させるものを3化合物同定した。さらに、PDLSCのマーカーとして、上述の4種類に加え、PLAP1, SCX, TNMD,SMAの発現に関しても検証を行った。その結果、これらの候補化合物の中には、新たな4遺伝子発現も上昇させるものが含まれていた。低分子化合物を創薬へと応用する場合には、目的とする薬効以外の副作用を排除することが望ましいため、標的とする因子をシグナル伝達機構のなるべく下流に設定することが望ましい。そこで、これらの化合物の中から、WNTシグナルの下流を標的とするものを選択し、効果を検証した。その結果、転写因子Aを標的とする低分子化合物3種類を使用し、いずれの化合物を使用した場合においてもNCのPDLSC分化を促進できることが明らかとなった。これらの結果から、転写因子Aを標的とすることで、効率よくNCをPDLSCへと分化誘導できる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、HXCと類似の働きを示す164化合物を、神経堤細胞株であるSK-N-SHへと添加し、一定期間培養後に、COL1, FBN1, OPG, POSTNのPDLSCマーカー発現について解析を行った。その結果、4種類の発現を上昇させるものを4化合物、3種類の発現を上昇させるものを3化合物同定した。これらの化合物の標的を分析し、WNTシグナルの中で、転写因子Aを抑制することでSK-N-SHの歯根膜幹細胞分化が促進できることを明らかにした。またsiRNAにて転写因子Aをノックダウンすることによっても、SK-N-SHの歯根膜幹細胞分化を促進できることを明らかにした。
|
今後の研究の推進方策 |
転写因子Aを標的とする3化合物においては、SK-N-SHと培養を行っても細胞死は確認されなかったことから、毒性は低いと考えられる。一方で、in vivoでの毒性は不明であるため、次年度にin vivoでの毒性試験を行う計画である。また次年度は、歯周病動物実験モデルを用いた、転写因子Aを標的とする3化合物の歯周組織再生能の評価を計画している。
|