研究課題/領域番号 |
21K19609
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
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研究分担者 |
清島 保 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20264054)
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 脱アミド化 / 口腔扁平上皮癌 / NF-κB / NF-kB |
研究開始時の研究の概要 |
p65の脱アミド化部位(N64D, N139D)を特異的に認識する抗体を作製し、口腔扁平上皮癌患者の病理組織切片を用いて、CADと脱アミド化p65の局在を比較解析し、臨床病理学的検討を行う。野生型および脱アミド化p65変異体を発現する細胞株を樹立し、脱アミド化依存性の遺伝子発現をRNA-seq法で網羅的に解析する。さらに、我々が確立したは顎骨浸潤モデル、および肺転移モデルを用いて、p65の脱アミド化による浸潤と転移における役割を解析する。
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研究実績の概要 |
タンパク質の脱アミド化は、徐々に進行する酵素に依存しないタンパク質の「老化反応」と考えられてきた。最近、短時間におこる免疫系分子の脱アミド化が、がん細胞による免疫回避に関与するという新たなモデルが提唱された。口腔扁平上皮癌 は、口腔、頭頸部の最も一般的な悪性腫瘍である。最近、いくつかのがん細胞において、NF-κB のサブユニットである p65 に 2 つの脱アミド部位 (N64 および N139 残基) が存在することが報告されたが、その機能は不明な点が多い。そこで、p65 の 2 つの脱アミド化残基を N64D と N139D に置換することによりその機能を調べた。N64D と N139D をそれぞれ認識する 2 種類の抗体の作製を試みたが、N139D を認識する抗体(αN139DAb)のみしか作製できず、この抗体は細胞免疫染色に有効であった。 p65欠損マウスから調製した胎児線維芽細胞に、p65にWT、N64D、N139D、およびN64DとN139Dの両方(DD)を保持する発現プラスミドのを遺伝子導入すると N64D は p65 の転写活性を変化させなかったが、N139D は p65 の転写活性を有意に減少させた。WT、N64D、N139D のタンパク質レベルは同等であったが、DD のみが著しく低かった。これは、DD 置換が タンパク質レベルp65 の転写活性を低下させることを示唆した。 そこでプロテアソーム阻害剤 (MG132) ではなく、オートファジー阻害剤 (バフィロマイシン A1) で処理すると、p65 DD のタンパク質レベルが WT のタンパク質レベルと同等に維持されたが、転写活性は低いままであった。p65 N139 はオートファジー機構を通じて p65 の転写活性とタンパク質レベルを調節していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画したSCCVII細胞およびB16細胞の内在性p65の欠損株を作製することが困難で、想定外の時間を要してしまった為、マウスに脱アミド化p65を再構成した細胞を接種することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年1月現在、SCCVII細胞の内在性p65の欠損株を樹立することができ野生型、N64D, N139DおよびDD株を樹立できたので、マウスへの移植を行う。
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