研究課題/領域番号 |
21K19612
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松下 祐樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (00713827)
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研究分担者 |
蟹江 慧 近畿大学, 工学部, 准教授 (80636407)
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研究期間 (年度) |
2022-02-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 骨肉腫 / シングルセル解析 / 細胞系譜追跡 / 骨格幹細胞 / 骨髄間質細胞 / マウスジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
骨肉腫は希少がんであり、間葉系細胞、特に骨格系細胞における、がん抑制遺伝子であるp53やRbの遺伝子異常によって引き起こされることが明らかになっており、Osx-cre陽性細胞でp53を欠失させたOsx-cre; p53fl/flマウスが骨肉腫自然発症モデルとして確立されている。しかし多様性のある骨格系細胞の中で 、骨肉腫の真の起源となる細胞は明らかにできていない。本研究では、多様な骨格系細胞を時空間特異的に発現を制御できる複数のCreERマウスを用いることで骨肉腫の真の起源となる細胞を見つけ出し、新規骨肉腫自然発症モデルを確立し、さらに発症のメカニズムをシングルセル解析を用いて明らかにする。
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研究実績の概要 |
骨肉腫は本邦において年間200-300人程度が発症する希少がんであり、多くは10-20歳代で発症する。近年の治療法の進歩により生存率は大きく向上してきたものの、一方で進展例では予後不良のケースや、手術による四肢や顎骨の切断を余儀なくされるケースも未だ少なくない。そのため、さらなる病態の解明や治療法の開発が課題となっている。本研究では、様々な骨格系細胞(骨格幹細胞、間葉系前駆細胞、骨芽細胞、骨髄間質細胞)をそれぞれ細胞特異的に標識し、かつタモキシフェン誘導性に時期特異的に発現を制御できる複数のcreERマウスを用いることで骨肉腫の起源となる細胞を細胞系譜追跡によって見つけ出し、新規骨肉腫自然発症モデルを確立し、さらに発症のメカニズムの詳細をシングルセル解析を用いて明らかにすることを目的として研究を開始した。 本年は様々な骨格系細胞を標識するドライバー遺伝子として、骨格幹細胞、間葉系前駆細胞、骨芽細胞、骨髄間質細網細胞を用い、p53を欠失(p53fl/fl)させるとともに、それぞれの細胞系譜を追跡するために蛍光分子であるtdTomatoを組み込んだ、細胞特異的-creER; p53fl/fl; R26RtdTomatoマウスを作出した。それぞれのマウスに生後21日でタモキシフェンを投与して細胞系譜追跡したところ、骨格幹細胞特異的にp53を欠失させることで、9ヶ月の時点で非常に大きな腫瘍形成を認めた。他の細胞でp53を欠失させても9ヶ月の時点ではほとんど腫瘍形成は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年は様々な骨格系細胞を標識するドライバー遺伝子として、骨格幹細胞、間葉系前駆細胞、骨芽細胞、骨髄間質細網細胞を用い、p53を欠失(p53fl/fl)させるとともに、それぞれの細胞系譜を追跡するために蛍光分子であるtdTomatoを組み込んだ、細胞特異的-creER; p53fl/fl; R26RtdTomatoマウスを作出した。マウスモデルを作ることを初年度の大きな目標と考えており、それぞれのマウスに生後21日でタモキシフェンを投与して細胞系譜追跡したところ、骨格幹細胞特異的にp53を欠失させることで、9ヶ月の時点で非常に大きな腫瘍形成を認め、他の細胞でp53を欠失させても9ヶ月の時点ではほとんど腫瘍形成は認められなかった。 これらのことから、当初の計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
さらに系譜解析を進め、どのモデルが骨肉腫の発生に大きく寄与するかをさらに追求し、腫瘍形成のメカニズムを明らかにする。
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