研究課題/領域番号 |
21K19622
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
仲井 邦彦 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 教授 (00291336)
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研究分担者 |
黒川 修行 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (30431505)
龍田 希 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40547709)
丸山 裕司 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70587930)
松元 隆秀 桃山学院大学, スポーツ健康科学部, 共通教育機構講師 (80846113)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | ウエアラブル端末 / 歩数 / 運動量 / 活動量 / 信頼妥当性 / 運動量測定 / 運動疫学 / 運動アプリ / スマートフォンアプリ / アプリ開発 / スマートフォン / 疫学調査 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、内臓脂肪型肥満に関連するメタボリックシンドロームが注目されており、そのリスク要因の一つとして運動不足が挙げられ、身体活動の強化が疾患予防及び健康増進に寄与すると期待されている。特に、我が国は高齢化が著しく、認知症予防に運動習慣の獲得が期待される。ただし、運動量と疾患予防に関するエビデンスは国内には乏しい。そこで本研究では、大規模疫学調査での活用を前提に、個人のスマートフォンの健康管理アプリよりデータを活用し、疫学調査で利用可能な運動量データ収集システムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
運動習慣と健康指標との間に密接な関連性があることが明らかになりつつあり、運動習慣や運動量を把握するため歩数や活動量測定が行われている。これまで加速度計や自記式調査票が用いられてきたが、近年、高精度の加速度計がスマートフォンなどウエアラブル端末に組み込まれるようになり、ウエアラブル端末を活用した活動量評価も試みられている。ただし、ウエアラブル端末を用いた場合も、端末の購入や貸与などのコストおよび作業が発生し、データ収集が1つの課題となる。そこで調査協力者自身がsg保有するウエアラブル端末よりデータをwifiを開始て収集するアプリを開発するとともに、iPhoneおよびスマートウォッチ(SW)で計測された歩数の信頼妥当性について実験的な検討を行った。31名(男性15名、平均20.3歳)の協力を得て、実測歩数(数取器)またはOmron活動量計(HJA-750C)を基準として、iPhone 8(iOS 15.7)、SW(Xiaomi Mi band6, GPS非内蔵)を使用し、a)トレッドミル走行(2.5、5.0、7.5 km/h、各3分)、b)陸上競技場トラック1 kmの自由歩行、c)日常生活の記録(3日間)で比較を行った。データの一致性は級内相関係数(ICC)およびBland-Altman解析により検討した。ICCは0.81以上で“almost perfect”とされるが、iPhoneおよびXiaomi SWはともに良好な結果が得られた。低速域(トレッドミル2.5 km/h)ではOmronおよびSWで過小評価が観察され、ゆっくり歩行する高齢者などでの測定には予備検討が必要と考えられた。ウエアラブル装置は歩数などに加え、心拍数や睡眠行動なども測定でき、開発したアプリによりデータのダウンロードが可能である。疫学分野でのウエアラブル装置の今後の活用が期待される結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iPhoneに搭載しデータをサーバーに読み込むためのアプリ開発を民間委託会社に依頼し、計画通り完成した。その上で信頼妥当性の検証についても実験的検討を実施し、31名の若年者での調査を終えた。その結果、数取器を基準とすると、Omron加速度計に比較しても、iPhoneおよびスマートウォッチで極めて良好な結果であり、特にスマートウォッチの信頼妥当性については、GPS非内蔵の機種を用いたにも関わらず高い信頼妥当性が示された。スマートウォッチでは同時に心拍数の変化や睡眠状態などのモニタリングが可能であり、疫学的な利用での応用面も広い。以上からウエアラブルデバイスの有用性を証明できたと考える。ただし、低速の歩行での信頼妥当性についてはやや低下した。疫学研究では高齢者でのフレイル対策が重要であり、高齢者が調査対象となる場合が多いが、高齢者は一般に歩行がゆっくりである。このため高齢者を対象として信頼妥当性を検討することが必要と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実験的検討から、iPhoneおよびスマートウォッチなどのウエアラブル端末を活用した歩数計測の有用性を検証できた。ただし、トレッドミルの低速域では、手動の数取器を基準とすると、Omron加速度計を含めて信頼妥当性が低下した。高齢者は一般に歩行速度がゆっくりであることを考慮すると、高齢者を対象とした信頼妥当性の追加検証が必要と考えられた。さらに、歩行時の加速度を評価する際に、体組成および下肢筋力などが交絡要因となる可能性が指摘された。体組成はすでに整備済みの体組成計を活用できるが、下肢等尺性膝伸展筋力などの測定は高齢者では測定精度が劣ると懸念され、床反力による推定が適切と考えられた。高齢者を対象とする研究では新たに学内倫理申請の修正を行う。以上の準備を整えた上で、新たに高齢者に協力をいただき、前年度と同じようにトレッドミルや自由歩行、日常生活での計測を実施する計画とする。並行して、これまでに得られた若年者での実験結果について論文化を進める予定である。
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