研究課題/領域番号 |
21K19623
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅野 恵美 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10431595)
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研究分担者 |
丹野 寛大 東北大学, 医学系研究科, 講師 (10755664)
佐藤 光 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20832124)
高木 尚之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30569471)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 褥瘡 / 皮膚-腸管ネットワーク / 腸管免疫 / 乳酸菌 / 難治性皮膚潰瘍 / 創傷治癒 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
2025年、わが国の65歳以上人口は30%を越え、皮膚潰瘍の原因の25%を占める糖尿病患者は、2,200万人に達する見込みである。褥瘡などの皮膚潰瘍では、一晩で細菌感染や壊死が急激に進行する感染症例があるが、既存の対策では発症前、発症直後の制御は困難である。 急激な重症化の背景には、宿主免疫の不全が指摘されている。 近年、腸管免疫など腸内環境がアレルギー疾患、慢性炎症、アトピー性皮膚炎など全身性疾患の誘導に関わることが次々と明らかにされていることから、申請者は本研究により、褥瘡発症前から腸内環境を整える、「飲む褥瘡発症予防法」の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
近年、腸内環境(腸管免疫)を起点とした全身の臓器間ネットワーク機構が次々に明らかにされている。申請者らは腸管免疫を介した褥瘡の難治化予防法の確立を目指し、ナノ型乳酸菌(加熱殺菌体)を内服後の腸内環境の関与について検証を行った。 免疫を抑制し、ナノ型を内服した実験群では、対照群と比較して、十二指腸から回腸末端の絨毛・筋層長が有意に長かった。さらに実験群では、十二指腸から空腸移行部において、Foxp3 陽性細胞の増加、IL-10陽性細胞数の有意な増加を認めた。 以上のことより、ナノ型乳酸菌は炎症を制御し、腸内の免疫環境を整える可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現在、褥瘡など難治性皮膚潰瘍に対する治療は、皮膚潰瘍発生後に集中的に行われているが、「急性創傷と難治性皮膚潰瘍の分かれ道は、発生直後の免疫応答が決める」との指摘がある。我々は、創傷が難治化しやすい方に対し、皮膚潰瘍の発生前から腸管免疫を高めることにより、難治化を予防できる方法を確立できないかと考えた。 今回の解析により、加熱殺菌体であるナノ型乳酸菌の経口投与により、腸管の炎症を制御できることが明らかになった。より詳細な作用機序を解明し、皮膚潰瘍の重症化予防に寄与する方法が確立されれば、治癒機関の短縮、在宅や外来通院で治すことのできる重症度が期待される。
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