研究課題/領域番号 |
21K19635
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
相田 潤 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80463777)
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研究分担者 |
小坂 健 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60300935)
財津 崇 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80611508)
大城 暁子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (60644036)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 健康格差 / 格差相対指数 / 格差絶対指数 / 資産 / 国際比較研究 / 口腔の健康格差 / 社会的決定要因 / ユニバーサルヘルスカバレッジ / 健康の社会的決定要因 / 国際比較 / ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ / 医療へのアクセス |
研究開始時の研究の概要 |
近年、世界疾病負担研究(GBD study)において歯科疾患は世界で最も有病率が高い疾患として報告されており、2021年5月には第74回WHO世界保健総会にて口腔保健の決議がなされた。そこで国際的に注目を集めるが、研究が少ない歯科医療に焦点を絞り、複数の国の疫学データの国際比較研究を実施する。そしてUHCの観点から「公的なカバーの手厚さが医療受診格差を減らしている実態」について検証を行う。豊富な国際比較分析により、世界中で活用されるエビデンスの形成を目指す。
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研究実績の概要 |
2023年に示された健康日本21(第3次)において、健康寿命の延伸と健康格差の縮小が目標として示され、これは歯科口腔保健の政策でも同様である。歯科領域におけるユニバーサルヘルスカバレッジの普及の目的の一つにも、健康格差の縮小が挙げられている。歯科受診の健康格差は、所得が低いほど受診が少ないという形で現れる。日本では75歳以上の所得が低い高齢者では、医療費の窓口での自己負担の割合が3割ではなく1割に設定されており、これは健康格差を縮小している方向に寄与していることをこれまで報告した。しかし、仕事を引退した人も多い高齢者において、医療受診の格差において所得が重要なのか、それとも資産や年金の方が重要なのか、あまり検討されていない。本研究では、医療受診の中でも経済状況に影響されやすい歯科受診をテーマに、健康格差の測定によく使われる所得や学歴に加えて年金と資産も用い、格差を調べた。日本老年学的評価研究(JAGES)の65歳以上12,391人のデータを分析に使用し、共変量には性別、年齢、口腔の健康状態、歯の本数、喫煙歴、糖尿病、脳卒中、心臓病、呼吸器疾患、その他の疾患の有無を用いた。歯科受診の絶対的および相対的格差をSlope Index of InequalityとRelative Index of Inequalityから求めた。解析の結果、資産や年金による歯科受診格差は、最大で23%ポイントの差があり、所得の11%ポイントの受診格差よりも大きい傾向にあった。共変量を調整した格差の指標からは、資産が格差に最も強い関連を有することが示された。この研究結果は、歯科受診の健康格差に所得以上に資産や年金が重要であることを示唆するものであり、高齢化の進展する世界に向けて、高齢者の健康格差の測定に極めて重要な知見となるものである。このほか、ライフコースを通じた格差の研究などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行による研究の遅れを取り戻しつつあるが、やや遅れている。1年間の延長で計画通り終了させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
UHCによる高齢者健康格差の縮小を考える上で、オーラルフレイルの健康格差についてはほとんど研究がされていない。そこで最終年度にはオーラルフレイルの健康格差について、大規模疫学調査のデータベースを用いて検討を行う。オーラルフレイルの構成要素のそれぞれについても、格差を測定することで、どのような要素で格差が大きいかを明らかにする。これにより、オーラルフレイルの健康格差に対してどのような対策をまず進めるか貴重な知見が得られると考えられる。
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