研究課題
挑戦的研究(萌芽)
肺MAC症は中高年女性に急増する難治性の呼吸器感染症であるが、菌の遅発育性によりリアルタイムの病態把握と時期を得た治療薬の選択が困難であった。今回、トランスポゾン変異株作製と次世代シーケンシング技術を組み合わせたトランスポゾンシーケンシング(TnSeq)により、迅速かつゲノムワイドな薬剤感受性判定法の確立を目指す。TnSeqによる薬剤感受性判定法を確立できれば、起因菌株の生存必須遺伝子に基づいた治療薬剤の選択が可能となり、肺MAC症に対する「テーラーメード医療」への基盤構築につながる。
本研究では、肺MAC症に対するトランスポゾン変異株の作製とTnSeqによる迅速感受性診断法を開発することを計画した。TnSeqにより、抗結核薬の標的遺伝子である、ニューキノロン、エタンブトール、イソニアジド、サイクロセリン、リファンピシンの標的遺伝子が挙がった。さらに、ベダキリン標的遺伝子, 現在開発中の薬剤標的glcB(リンゴ酸合成酵素)、type VII分泌装置遺伝子群(eccC, eccB, eccB)も生存必須遺伝子として挙がった。生存必須遺伝子を標的とした薬剤単剤および併用療法の生体内効果を感染マウスモデルで検証した。これにより生体内治療効果判定手法を確立し、誌上発表した。
肺MAC症患者由来の臨床菌株を使ったトランスポゾンシーケンシング(TnSeq)により、現行治療薬の標的以外にも肺MAC病原体の治療標的が存在することが分かりました。今回の結果は、肺MAC症の新規治療法を開拓するための薬剤標的データベースとなります。また、感染マウスモデルを使った生体内での治療効果判定手法を確立しました。これにより、将来開発される薬剤に対する生体内治療効果判定が可能となります。
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