研究課題/領域番号 |
21K19654
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
江藤 宏美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (10213555)
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研究分担者 |
周尾 卓也 北陸大学, 薬学部, 講師 (90399006)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | レストレスレッグス症候群 / ビタミンD / 妊婦 / 質量分析 / RLS/WED / 25(OH)D / 1,25-(OH)2D / LC-MS/MS |
研究開始時の研究の概要 |
妊婦の睡眠障害の一つとしてレストレスレッグス症候群(以下RLS)があり、妊娠中の睡眠の質の低下や健康に影響を与えている。RLSは、女性に多く、特に妊娠を契機として症状が顕在化することが多い。近年、ビタミンDの活性化経路と睡眠・覚醒障害、ドパミン生合成との関連が注目されてきている。 本研究は、これまで解明されていない妊娠中のRLSの要因として、ビタミンDとの関連を明らかにしようと試みる。その際、ビタミンDの微量の活性化型を質量分析法によって精緻に定性・定量しようとするものである。 妊娠中のビタミンD欠乏とRLSとの関連が明らかになると、ビタミンD補充という画期的な対処法をもたらすと考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、これまで解明されていない妊娠中のレストレスレッグス症候群(RLS)とビタミンDとの関連を明らかにしようと試みるものである。近年、ビタミンDの活性化経路とドパミン生合成との関連が注目されてきており、RLSとの関連も大いに考えられる。今回、ビタミンDの活性化型である血清25(OH)D、1,25-(OH)2Dを質量分析法によって精緻に特定し、さらに、血液生化学検査でRLS関連項目やビタミンD欠乏を示す項目も精査する。 昨年に追加して、妊娠予備軍としての女子大学生85名から研究協力の承諾を得た。対象者の年齢は中央値21[20-23]歳、RLSスクリーニングでは3人がRLSと診断され、有病率は3.5%であった。今回の対象者において25(OH)Dは、全体で中央値15.1ng/mLで、非欠乏群(20ng/mL<)19名(22.1%)、欠乏群(<20ng/mL)67名(77.9%)であった。ビタミンDと睡眠の関連では、休日において起床時刻がビタミンD欠乏群の方が遅く(p=0.032)、睡眠時間はビタミンD欠乏群の方が長かった(p=0.001)。不眠症とビタミンDとの間に有意な差はみられなかった。SJL(社会的時差ぼけ)に関してはビタミンD欠乏群の方が大きく(p=0.012)、ビタミンD欠乏群に夜型の者が多かった(p=0.036)。ビタミンDと生活習慣との関連では、ビタミンD非欠乏群で平日(p=0.034)、休日(p=0.033)ともに屋外時間が長く、運動頻度が多かった(p=0.031)。月経前症状として腹部膨満感(p=0.043)や乳房痛(p=0.015)がある者がビタミンD欠乏群に多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象者のリクルートおよびデータ収集は、おおむね順調に進んでいる。メインアウトカムである血清25(OH)D濃度について、質量分析であるLC-MS/MS法とリガンド測定法の2法で行っていたが、検討の結果、質量分析を用いた方法の測定精度が高く、LC-MS/MS法のみで分析することに決定した。 妊婦のデータを収集していたが、コロナ禍の影響でデータ収集がうまく進まず、妊娠予備軍としてプレコンセプションにある女子大生に対象を変更して、データ収集を進めた。女子大生においては、RLSの有病率は低かったが、血清25(OH)D濃度については妊婦同様低く、約80%がビタミンD欠乏の様相を呈していた。
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今後の研究の推進方策 |
引続きデータ取集を行っていく。25(OH)D についてはLC-MS/MSにより分析することとし、ビタミンDに関連する血液生化学データの収集、睡眠とビタミンDとの関連を探索する。 2023年度は、さらに妊婦のデータを集積し、ビタミンDとRLS、および生活習慣としての背景因子、睡眠関連因子との関連を探索していく。 研究者間の連携を図り、zoomによるオンライン討議や共通の学術集会への参加によって、得られた結果の検討を行っていく。
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