研究課題/領域番号 |
21K19658
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
高橋 尚彦 大分大学, 医学部, 教授 (30263239)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 心外膜脂肪 / 心房細動 / CT値減衰度 |
研究開始時の研究の概要 |
心房細動患者は数百万人にのぼり脳梗塞を高率に発症する。申請者は心房細動に関する基礎研究を15年以上にわたって行ってきた。最近では心臓手術時に得られた59例の心房細動患者の左心耳切片を検討し“心外膜脂肪そのものの線維化が顕著であるほど,隣接する心房筋に炎症性心房線維化が強く生じる”という新事実を明らかにし,これを“Fibrotic EAT”と名付けた。このFibrotic EATには悪玉サイトカイン(IL-6,MCP-1,TNF-α)が多く含まれ心房細動を進行させることも突き止めた。本研究の目的は,このFibrotic EATを検出可能な新たなCT画像診断テクノロジーを開発することである。
|
研究成果の概要 |
SGLT2分子が脂肪組織の間質に存在する間葉系幹細胞(=脂肪前駆細胞)で発現しており、脂肪細胞への分化に伴ってその発現量が減少することを見出した。EAT検体から抽出した脂肪前駆細胞をSGLT2阻害薬投与下に分化させ、実験を行った(n=92)。Empagliflozinを投与しながら脂肪前駆細胞に分化誘導を行うと、脂肪分化に関わるPPARγやCABPAの発現に影響は無かったが、脂肪成熟マーカーであるFABP4は発現が低下し、形成される脂肪滴の量も減少した。また、いくつかの炎症性サイトカイン遺伝子についても抑制が見受けられ、共培養実験では傍分泌効果を介して与える心筋細胞の酸化ストレスが軽減された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々はSGLT2阻害薬が脂肪前駆細胞に作用して脂肪成熟を抑制することを示した。これまでに臨床所見として報告されているEAT量の減少効果は、脂肪組織のターンオーバーを遅延させることで生じている可能性がある。また、本研究によってSGLT2阻害薬は脂肪細胞における炎症性を改善し、隣接する心筋の酸化ストレスを軽減させることも明らかとなった。臨床で認められているSGLT2阻害薬のEAT減少効果を解明した点で学術的意義がある。SGLT2阻害薬は既に市販されており,今後EATの量を減らし質を改善する薬剤として有効である可能性を示した点で社会的意義がある。
|