研究課題/領域番号 |
21K19661
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
佐伯 茂 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (60211926)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 環境温度 / 生体機能 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、温度も生体機能を制御する重要な環境シグナルであり、その制御が破綻するとメタボリック症候群が発症するとの仮説をたてた。そこで本研究では、温度に応答して生体機能を制御する生体センサーを探索する。実験動物を室温、低温の環境下で飼育し、各種臓器を摘出する。各種遺伝子の発現量を測定すると共に、メタボローム解析、DNAマイクロアレイ解析などにより、温度に応答して変化するバイオマーカーを探索する。
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研究実績の概要 |
体内時計は環境シグナルを生体内に伝達し、生体の環適応能を制御する。日照時間は、四季が存在するわが国において 大きく変化する。 更に、文明の発達に伴って、ヒトは日照時間の劇的な変化に曝されている。例えば、人工照明、夜間労働、時差を越える東西移動は日照時間 に重大な影響を与える。日照時間の急激な変化が体内時計を 狂わせ、睡眠障害、摂食障害、自律神経障害のみならず、種々の代謝障害を引き起こし、メタボ リック症候群の発症に影響を与えることは広く知られている。 一方、冷暖房設備、季節を越える南北移動は環境温度に影響を与えるが、メタボリック症候 群の発症に対する影響については殆ど不明である。申請者は、温度も生体機能を制御する重要な制御因子であり、その制御の破綻は生体機能の破綻につながると の仮説をたてた。哺乳動物には褐色脂肪と白色脂肪が存在している。両者とも細胞内に多量の中性脂肪を蓄えているという点では同じだが、存在場所や構造、働きが大きく異な る。褐色脂肪組織はミトコンドリアを多量に含み、脂肪酸酸化による熱産生とエネルギー消費に関与する分子が高発現している。一方、白色脂肪は体内にエネル ギーを貯蔵し必要に応じて全身へ供給する。近年、白色脂肪に寒冷曝露やノルエピネフリン投与などの刺激を与えると、エネルギー代謝関連遺伝子の発現が亢進 し、白色脂肪組織が褐色脂肪である「ベージュ脂肪細胞」に誘導され、褐色脂肪と同様に熱産生を行うことが明らかになっている。そこで今年度は、メタボリック症候群を発症するOLETFラットでは、褐色脂肪のUCP1遺伝子の発現量が室温環境下では低いが、低温環境下では正常ラットと同様に増加すること、白色脂肪のUCP1遺伝子の発現量が低温環境下で増加しないこと、即ち、白色脂肪がベージュ脂肪細胞に分化し難いことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常ラットと遺伝的メタボリック症候群モデルラットを実験に用いた。褐色脂肪はミトコンドリアを多量に含み、脂肪酸酸化による熱産生とエネルギー消費に関 与する分子が発現していると考えられる。令和3年度の研究において、室温環境下でメタボリック症候群モデルラットは、正常ラットに比べて褐色脂肪のUCP1遺伝子を介するエネルギー消費 が低下していた。このことからメタボリック症候群モデルラットは、褐色脂肪のUCP1遺伝子発現の低下がメタボリック症候群を呈する原因の一つになりうると考 えられた。一方で、低温環境下でメタボリック症候群モデルラットのUCP1遺伝子の発現は、正常ラットと同等レベルにまで上昇した。したがってメタボリック症 候群モデルラットの褐色脂肪組織は室温環境下では機能が低下しているものの、寒冷刺激に対して正常に応答し、熱産生を亢進することが示唆された。そこで令和4年度において、褐色脂肪以外の白色脂肪での解析を進め、上述の研究実績を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度において、メタボリック症候群を発症するOLETFラットでは、褐色脂肪のUCP1遺伝子の発現量が室温環境下では低いが、低温環境下では正常ラットと同様に増加すること、白色脂肪のUCP1遺伝子の発現量が低温環境下で増加しないこと、即ち、白色脂肪がベージュ脂肪細胞に分化し難いことを発見した。近年、低温環境下で交感神経からノルエピネフリンが分泌され、これによって白色脂肪が褐色脂肪様のベージュ脂肪細胞に分化し、UCP1遺伝子発現量とエネルギー消費が増加することが報告されている。従って、低温環境下で白色脂肪のUCP1遺伝子の増加が誘導されないLETOラットの白色脂肪は、ノルエピネフリンに対する感受性が低いことが予想される。そこで、令和5年度は、OLETFラットの白色脂肪がベージュ脂肪細胞に分化し難いことの原因を明らかにするために、OLETFラットの白色脂肪から分離した培養脂肪細胞を用いて、ノルエピネフリンなどのホルモンの刺激によってベージュ脂肪細胞に分化するか否かについて検討する。
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