研究課題/領域番号 |
21K19664
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
山本 登志子 (鈴木登志子) 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (60301313)
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研究分担者 |
岡崎 愉加 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (50224001)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 母乳 / リピドミクス / 多価不飽和脂肪酸 / 脂質メディエーター / 酵素 / 乳腺炎 / 脂質 / リピドミクス解析 / 乳汁栄養 / 生理活性脂質 / 母子健康支援 |
研究開始時の研究の概要 |
授乳中の母親ならびに乳児の健康を考える上で,母親の食事は,母乳の質に影響し,母子の健康状態を左右する。また,早期ライフステージにおける栄養環境要因と,子どもの生涯にわたる健康への影響が注目されている。本研究では,母乳中の生理活性脂質(脂質メディエーター)に着目し,「脂質の質 = 脂質メディエーターバランス」が母子の健康に及ぼす影響を調査することで,母乳の脂質の新しい栄養生理学的な意義を示す。加えて,母親の摂取する「脂質の質」の改善が,母から子へ,また,母体そのものへおよぼす効果を明らかにすることで,授乳婦の摂取する「脂質の質」の重要性を提唱し,母子の生涯にわたる健康維持に貢献する。
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研究成果の概要 |
ヒト母乳とウシ生乳のリピドミクス解析により,ヒト母乳は,不飽和脂肪酸の含有量が多く,ω3系とω6系の脂肪酸の含有割合が同程度で,炎症収束性脂質メディエーターの含有割合も高く,ウシ生乳と比較して,優れた脂質成分組成を有することが明らかとなった。また,ヒト型の乳汁脂質成分組成を示すマウスを対象に,脂肪酸遊離に働く酵素を明らかにするために,乳腺発達と発現動態を解析したところ,PLA2アイソザイムを見出した。そのリコンビナント酵素を作製して,基質親和性を解析したところ,リン脂質sn-2位のPUFAを良く切り出す酵素であることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乳汁栄養の質は,乳児の将来の肥満や生活習慣病に深く関係すると考えられる。乳児期栄養のエネルギー比率50%を担う脂質については,エネルギー源として重要であることや神経や網膜の発達に必須の多価不飽和脂肪酸が多く含まれること以外に,その意義についてはあまり分かっていない。本研究では,母乳の「脂質の質」とそれを決定する酵素を調査し,母乳の脂質成分組成が牛乳と比較しても,大変優れていることを見出した。本研究成果は,母乳の新しい栄養生理学的な意義に加え,母乳育児の新たな意義を示すものである。さらに,この優れた母乳の脂質成分組成の情報は,人工栄養(乳児用調製乳)の改良へも貢献できるかもしれない。
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