研究課題/領域番号 |
21K19677
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
上田 路子 早稲田大学, 政治経済学術院, その他(招聘研究員) (50791357)
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研究分担者 |
FAHEY ROBERT・ANDREW 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (10844516)
渡辺 耕平 早稲田大学, 高等研究所, その他(招聘研究員) (50832466)
赤石 れい 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, ユニットリーダー (80747593)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | SNS相談 / 自殺 / メンタルヘルス / 機械学習 / チャット相談 / 自然言語処理 |
研究開始時の研究の概要 |
日本をはじめ、世界中の国において自殺は最も深刻な社会問題の一つである。死にたいほどつらい悩みを抱える人たちの自殺念慮の背景にある悩みに寄り添って自殺以外の解決手段を提示し、適切な支援につなげることは重要な社会的課題である。相談件数が急増している現在、緊急に介入する必要のある相談者をできるだけ早く特定し、優先的に対応することは喫緊の課題であるが、そのような仕組みは技術的な理由から日本の相談事業では現在行われていない。そこで、本研究は自然言語処理の技術を用いてSNS相談事業に寄せられる相談者の自殺リスクの緊急度や悩みの深刻度を判定する手法を開発することを主な目的とする。
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研究実績の概要 |
SNS相談の効果検証のためには、発言から相談者の状態(特に精神状態)を測定することが不可欠であり、その作業の準備として、ツイッターの発言から発言者の精神状態を推定することを試みた。具体的には、一般市民を対象とした調査を実施し、基本属性、孤独感、メンタルヘルスの状態などを測定したのち、調査対象者にツイッターのアカウント名を尋ね、同意を得られた調査対象者の2019年以降の投稿内容を収集、分析した。収集した約250万件のツイートを用い、その内容から発言者のpsychological distress(精神状態の悪さ)の程度を推定した。推定の際には、LSS(Latent Semantic Scaling)の手法を用いて、それぞれの発言(ツイート)について数値化を行なった。LSSは分析者が指定した種語を元に、文書の極性値(この場合精神状態の良し悪し)を、種語に関連する特定の次元上で計算する半教師あり(semi-supervised)機械学習の手法である。
LSSは主に政治学の分野で複数の応用例があるが、精神状態の測定を目的として実施するのは初めてであったため、LSSによる測定の有効性の検証を比較的丁寧に行なった。その結果、複数の方法によってLSSの有効性を確認することができ、LSSを発言者の精神状態を測定する目的で用いることができることが示された。一連の結果は2023年3月にJournal of Medical Internet Researchに掲載された。
加えて、某自治体が実施する深刻な悩みを抱えた人向けのSNS相談の匿名データの内容分析を行なった。
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