研究課題/領域番号 |
21K19678
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
鎌倉 尚史 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任講師 (60527224)
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研究分担者 |
中川 貴美子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (10534034)
山本 伊佐夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (30277917)
大平 寛 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (60386828)
藤田 紗英子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (50958410)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | FGF23 / 高齢者の骨折 / 乳幼児の骨折 / 年齢推定 / 血液検査 / スクリーニング検査 / 骨形成 / 血液検査による発達評価 / 血液による骨折スクリーニング検査 / 骨粗鬆症 / 虐待 / 骨評価 / 骨折診断 / 児童虐待 / 高齢者医療 / 被曝のない骨折診断 / 骨芽細胞による骨形成の評価 |
研究開始時の研究の概要 |
骨や歯は重要な組織であり個人の特徴を強く反映した組織である。しかし直接確認できず、X線にも限界があり検査や診断が難しい組織でもある。もし、血液から骨の状態がわかれば非常に大きなメリットになる。具体的には、身元不明者の身元確認や大規模災害時の医療活動、乳幼児の骨折や高齢者の無症状骨折などX線検査では難しい診断へ応用できる。つまり子どもの医療や虐待診断、高齢者医療、僻地診療などに加えて、介護や災害対応等、社会問題の解決にも発展する。そこで本研究は、血中FGF23濃度が骨形成に連動する現象を調査し、年齢や骨の状態(疾患、骨折など)、全身疾患などを記録したデータベースを構築し、医療の発展に役立てる。
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研究実績の概要 |
血液中のFGF23は活性型と分解産物が共存している。活性型FGF23は腎臓などに作用し、分解産物は骨形成など局所で利用後、全身へ作用しないように分解されたものと考えられる。本研究では、分解産物濃度を研究の対象として測定し、骨形成との関連を調べている。 雌雄1~78週齢の正常マウスの血中FGF23濃度を測定し、2way ANOVA及びt検定で統計解析を行なった。結果、雄では1~4週齢をピークとして6週齢にかけて減少(p=0.002)、雌においては、1~2週齢をピークとして4週齢にかけて減少した(p<0.001)。雄と比較して雌の方が減少する週齢が早い(p<0.01)。脛骨の免疫染色でも発現細胞の量に分解産物濃度と正の相関があり、分解産物量が骨形成と正の相関にあると言える。この結果は海外学術誌に投稿中であり、アクセプトには至っていないがプレプリントが公開されている。(http://ssrn.com/abstract=4625424) この結果を基礎として人での研究を進め186人分の解析が終了している。その結果、FGF23分解産物濃度は、男性では20歳未満で多く10代後半をピークとして20歳から50歳にかけて減少したのち、60歳を超えると増加する傾向が認められた。女性では、20歳未満のデータが少なく評価困難であるが、30歳から60歳にかけて減少し、その後やや増加に転じていた。この傾向はマウスの週齢を人の年齢に換算した場合の傾向と似ていた。また、数値としては約50pg/ml(intact FGF23換算)前後となる被験者が多かった。血中FGF23分解産物濃度の平均値は男性55.66pg/ml、女性46.75pg/mlとなり女性の方が少ない傾向にあった。(p<0.05)この結果は2024年5月に開催される法歯科医学会全国大会にて発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスを用いた実験結果は、2023年7月より海外学術誌に投稿中でプレプリントが公開されているが、アクセプトには至っていない。現在も投稿作業を続けている。 人を対象とした実験に用いる血液の収集は、成人については本学健康診断での参加者でほぼ目標数を達成し、解析を進めたことで平均値や年齢との相関を得るにいたった。しかし、20歳未満については、新型コロナウイルス感染症の流行やランサムウェア攻撃により協力医療機関の復旧待ちや新規開拓に時間を要し、遅れが生じた。現在は総合病院2機関、個人開業医1件の体制で進めているが、今後の不測の事態に備え、追加で協力を得られる医療機関を探している。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、20歳未満の血液が不足しており、この年齢層の研究参加者を必要としている。そこで、大阪府立急性期医療センターの障がい者歯科に加え、四国おとなとこどもの医療センター小児整形外科および小児科の協力を得て参加者を募っている。また、さらに収集に協力いただける医療機関を見つけるため、学会発表を利用し、子ども虐待対応を行なっている全国の小児医療機関や公的機関にも、研究の趣旨やメリット、将来予想される医療の進化を説明し、研究参加をお願いしている。 現在、追加実験も一通り終了したマウスのデータを海外学術誌の投稿中であり、プレプリントが公開されているが、残念ながらアクセプトには至っていない。アクセプトに向けて学術誌エディターとのやり取りを継続しており、2024年度中のアクセプトを目指している。 人のデータを解析のうち、結果の出ている成人のデータについては、学会発表を通じて結果を公表していく予定で、まずは2024年5月に開催される法歯科医学会学術集会にて発表する。20歳未満のデータが集まり次第、海外学術誌に投稿予定である。平行して、FGF23が骨形成でどのような役割を担っているのかを解明するための細胞培養実験を進める予定である。また、人のデータについては、より早くかつ広く研究成果を利用できるようにするため、UMIN INDICE cloudでの公表も予定している。
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