研究課題/領域番号 |
21K19683
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
盛武 敬 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部, 部長 (50450432)
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研究分担者 |
孫 略 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40757704)
鈴木 正敏 東北大学, 災害科学国際研究所, 講師 (60515823)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 晩期障害 / 慢性被ばく / 低線量被ばく / 低線量率被ばく / 血液抗酸化能 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線災害では晩発障害(数十年後にがんや白内障、動脈硬化などを発症すること)が大きな問題となる。このため、晩発障害の発症を予測するバイオマーカーの同定が期待されている。晩発障害の多くの疾患は酸化ストレス(活性酸素の増加や抗酸化能の低下)との関連が指摘されているので、本研究では、抗酸化能を指標とした晩発障害リスク予測の妥当性を明らかにする。さらに、福島野生ニホンザルの抗酸化能を測定し、福島で問題となっている慢性被ばくと抗酸化能の関係を明らかにする。本研究の成果は健康管理指標としての利用につながり、被ばく後早期に数十年後に発生しうる疾患のリスク推定が可能となり、予防的介入につなげることができる。
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研究実績の概要 |
放射線晩発障害の発症リスクを被ばく後の早期に予測できれば、予防的介入(治療)も可能となり、晩発障害の発症を抑えることが可能となるが、晩発障害のほとんどの疾患は酸化ストレス(活性酸素種(ROS)の増加や抗酸化能の低下によって引き起こされる状態のこと)との関連が明らかになっている。本研究では、抗酸化能を指標とした晩発障害リスク予測の妥当性を明らかにすることを目的としている。放射線白内障は放射線による影響で目の水晶体が曇ることであり、放射線によるDNA損傷やフリーラジカル等の蓄積によるタンパク質の変性が放射線白内障の原因として考えられているが、正確な発症メカニズムは十分に明らかになっていない。我々は本研究初年度の成果により、被ばく後に血液の抗酸化能が慢性的に低下状態にある起こることを見出しており、2年目である令和4年度は慢性的な抗酸化能低下と放射線白内障発症の関連性を主に追跡調査することとした。5Gyを全身照射したA/J、ICRの両系統のマウで酸化型グルタチオン量が減少した。さらに、3年目の令和5年度は細隙灯による白内障評価を行った。照射300日後に一部、600日後に残った全部のマウスを安楽死させ、水晶体を摘出して実体顕微鏡を用いて水晶体の状態を評価したところ、照射300日後では、照射/非照射両群とも顕著な白内障増加がみられなかったが、600日後では、照射群にのみ顕著な白内障が認められた。なお、本研究期間終了時までに600日に到達していないマウスの飼育が続いており、引き続き白内障の発症と水晶体のグルタチオンの動態について解析を進める予定である。また、これまでの令和3-5年度で97頭分のニホンザルのサンプルをストックし、グルタチオン量と抗酸化能を解析したところ、福島第1原発事故により低線量長期被ばくが続く福島群のニホンザルと対象地区群のニホンザルの間に有意差は認められなかった。
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