研究課題/領域番号 |
21K19693
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安藤 恵子 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40221741)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | サルコペニア / 線虫 |
研究開始時の研究の概要 |
サルコペニアは加齢性の骨格筋萎縮症で、歩行障害、嚥下障害などの全身の機能低下を引き起こし、健康寿命延伸を阻む主要な要因である。超高齢化社会にある我が国では、毎年100万人を超える高齢者が新たにサルコペニアに罹患しており、その克服は医学的、社会的に喫緊の課題である。本研究では、寿命が3週間と短く老化研究の代表的なモデル生物である線虫C.elegansを用いて筋の老化を解析するための動物モデルを開発する。この新規動物モデルはサルコペニアに加えて様々な筋疾患の解析と治療法開発に応用展開が可能と考えられ、医療と健康増進への貢献が期待される。
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研究実績の概要 |
サルコペニアは多くの高齢者で発症する加齢性筋減弱症である。サルコペニアは高齢者のQOLと健康寿命を低下させる主因であるが、筋萎縮の根本的な原因はいまだに不明である。本研究では寿命が短く老化研究に適した線虫を用いてサルコペニア関連遺伝子の新規動物モデルを開発し筋萎縮のメカニズムを明らかにすることを目的とする。 近年、筋細胞におけるオートファジーの機能低下が筋萎縮に強く関連していることが示唆されており、特にリソソームを介したオートファジー(マクロオートファジー)の役割が注目されている。今年度は加齢筋の細胞内ホメオスタシスにおけるリソソームの役割を明らかにするため、リソソーム膜の融合に関わるVPS遺伝子に着目し動物モデルの開発を進めた。VPS変異体と線虫ミオシンがGFPで標識されたトランスジェニック体を交配し遺伝子改変動物を作成した。次いで加齢に伴う筋サルコメア(筋の収縮装置)の構造変化と運動能の解析を行った。加齢筋ではミトコンドリアの断片化が観察されるが、VPS変異とミトコンドリア断片化の関連についても検討した。 サルコペニアは加齢性の一次性サルコペニアと加齢以外の原因で発症する二次性サルコペニアに分けられいずれも筋萎縮が生じる。一次性サルコペニアと二次性サルコペニアの筋萎縮のメカニズムを比較するため、シナプス小胞と神経前終末の膜融合の異常により神経伝達が遮断された変異体を用いて廃用性筋萎縮の動物モデルを開発した。これらの動物モデルで詳細な解析が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GFPトランスジェニック系統を用いて筋の構造と筋の老化の定量的解析法を構築した。また、サルコペニアにおけるリソソーム関連遺伝子の役割を明らかにするため遺伝子改変動物モデルを構築し解析が順調に進んでいる。廃用性筋萎縮の動物モデルの開発も順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウムイメージング法を用いて細胞内のカルシウム動態を可視化し、サルコペニア動物における筋機能について検討する。筋の老化を予防あるいは緩和する化合物を迅速にスクリーニングする方法を検討し、サルコペニア創薬への応用研究への展開を目指す。
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