研究課題/領域番号 |
21K19708
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 和生 京都大学, 農学研究科, 教授 (80213148)
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研究分担者 |
山崎 英恵 龍谷大学, 農学部, 教授 (70447895)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 嗜好性 / 報酬系 / 光遺伝学 / 心拍変動 / 扁桃体 |
研究開始時の研究の概要 |
通常忌避されるような苦味や酸味を持つ食品、独特の臭みを持つ食品などを好むようになる行動はヒトに独特のものと思われるが、その成立機構についてはよくわかっていない。本申請研究では、実験動物に忌避性食品を摂取させ、同時に脳報酬系の刺激、扁桃体の抑制、前頭前野の脱抑制を行う事で嗜好が確立するか否かを明らかにし、ヒトで特徴的な、一見生体に不利な影響を及ぼしそうな風味を持つ食品への嗜好が成立する機構を明らかにする。またヒト被験者に継続して忌避/嫌悪性食品を摂取してもらい、これにより引き起こされる生理的変化(心拍変動、および精神性発汗)と経時的な嗜好変容について検討を行う。
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研究成果の概要 |
強い独特の風味により、忌避/嫌悪されるような食品でも、好んで摂取されうる現象は、子どもではなく、成熟したヒトに特有のものだと考えられる。本研究では光刺激で神経興奮を起こすオプシンを報酬系で発現させたマウスを用い、摂取行動時の脳報酬系の特異的光刺激や薬理学的変調を組合せ、忌避性溶液の摂取回避が解除されることを示唆した。同様に忌避性食品をヒトに経日的に摂取させ、心拍変動など生理学的指標と嗜好性の変化を測定し、両者の関係を検討したところ、忌避・嫌悪性食品と高嗜好性食品の同時摂取によって、忌避・嫌悪性食品への慣れ感形成の速度が早くなったと同時に、嗜好形成への方向転換も生じた可能性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「大人の味」とは何か。強い独特の風味により、忌避/嫌悪されるような食品でも、好んで摂取されうる現象は、子どもではなく、成熟したヒトに特有のものだと考えられる。好ましくない結果を起こしそうな風味を持つ食品への嗜好が成立する機構は、極めて人間的な行動の一つの典型として、その機構の解明は非常に興味深い。本研究では、人およびマウスにおいて、忌避/嫌悪性食品摂取時に脳報酬系の活動を亢進させる刺激を共存させることでこれに対する嗜好が形成されうることを示した。苦味など子どもには忌避される味が大人になると摂取できるようになるのは慣れだけではなく、何らかの報酬が得られた経験が寄与することを示した。
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