研究課題/領域番号 |
21K19711
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片山 泰一 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 教授 (80333459)
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研究分担者 |
望月 直人 大阪大学, キャンパスライフ健康支援・相談センター, 准教授 (20572283)
吉村 武 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 講師 (60402567)
青木 京子 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 寄附講座助教 (70378537)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 感覚過敏 / 感覚鈍麻 / 自閉スペクトラム症 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症は,コミュニケーションの困難さや特定のものや行動への強いこだわりの強さなどを特徴とする神経発達障害の一つである。2013年に自閉スペクトラム症の中核症状の中に「感覚過敏・鈍麻」という項目が加えられた。しかし,この感覚症状の診断については,客観的方法が確立されておらず新たな検査方法の確立が急務である。 本研究では,QUEST法というベイズ推定を取り入れた測定法を触覚過敏と聴覚過敏に適用し,客観的かつ統計的な感覚閾値検査方法を確立する。これにより感覚過敏の特性を数値化できるようになり,自閉スペクトラム症の困り感に対する具体的支援に貢献できると考える。
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研究実績の概要 |
我々は、自閉スペクトラム症(ASD)の中核症状の一つと言われる「感覚過敏・感覚鈍麻」の客観的判定方法を確立する目的で、QUEST法というベイズ推定を取り入れた測定法を触覚、聴覚等に適用しようと研究を進めている。一昨年度、安定した指標が見つからず難航したが、昨年度は、温度と痛覚に共通するTRPファミリーに着目、以下の結果を得た。 結果概要:ヒト温度感覚・痛覚を受け取る温度受容体(TRP: Transient Receptor Potential)チャネルの遺伝子多型を解析。温度受容体は6回膜貫通領域をもち刺激を受け取る受容体が温度により異なることが知られている。TRP V1:42度以上,カプサイシン受容体でもある。TRP V2:52度以上, V3: 32-39度, V4: 27-4度,TRP M8: 25-34度,メントール,ミントにも応答。TRP A1: 17度以下,シナモン,マスタードオイルに応答。このうち既報から温度受容体遺伝子多型と痛覚感受性の間に関連が指摘される以下の3部位でプライマーを設計、遺伝子多型を解析。日本人12人の唾液サンプルからDNAを抽出し解析を行った。TRP_V1:rs8065080(1911A>G)、遺伝子頻度:GG(33%), AA(17%), ヘテロ(50%)、s2221747(1103C>G)CC(33%), GG(25%), ヘテロ(42%)、TRP_A1:rs920829(710G>A)GG(42%), AA(0%), ヘテロ(58%) これまでヨーロッパでの報告が多かったが、日本人でも比較的多くの多型がみられたため、この領域の遺伝子解析と温度感覚検査を組み合わせることで、個人の感覚感度を数値化しASD群の感覚過敏の程度を評価できると考える。延長して行う今年度は、被験者を増やしデータ取得すると同時に、ASD者のデータ収集を開始したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今期も、A.触覚についての客観的閾値測定法の確立に絞り、目指した触覚閾値過敏の検出の検討に時間を要した。今回は、温度感受性受容体(TRP受容体)に絞り込んだ結果、TRPV1、TRPA1の中に差別化できる多型領域を見出した。 B.受容体遺伝子の多型の検出について、各種触覚受容体等、遺伝子多型が報告されている領域について基礎データの収集中、温度感受性受容体(TRP受容体)に活路を見出したため、TRP受容体感受性と遺伝子多型に絞って検討したところ、上記結果を得た。C.に関しては、TRPでの評価が可能となりそうであるが、結果として被験者リクルートに至っておらず、システムの検討に留まったため、上記評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策 令和6年度は、絞り込んだTRP受容体感受性と遺伝子多型の組合せによる弁別が可能かどうか計画に沿って進める。TRP受容体感受性遺伝子多型、検出方法の組合せが確定後、QUEST法を実施し、定型発達者、次いで、実際のASD者のデータ収集へ移る予定である。
次年度の研究費の使用計画 研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定どおりの計画を進めていく。
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