研究課題/領域番号 |
21K19731
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
伊藤 修 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00361072)
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研究分担者 |
上月 正博 東北大学, 医学系研究科, 名誉教授 (70234698)
森 建文 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40375001)
森本 哲司 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (10344657)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | リハビリテーション / 運動 / 腎臓 / 交感神経 / 細胞・組織 |
研究開始時の研究の概要 |
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、腎嚢胞の増大・増加とともに進行性に腎機能が低下し、末期腎不全の至る難病である。ADPKDモデルである多発性嚢胞腎(PCK)ラットを用いて検討したところ、長期的運動が嚢胞増大抑制効果を示すことが明らかになった。そこで、本研究では、長期的運動の嚢胞増大抑制効果の機序と推測されるα2-アドレナリン受容体を介した腎交感神経の関与とマイオカインであるirisinの関与を検証する。
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研究実績の概要 |
常染色体顕性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease;ADPKD)は、加齢に伴い腎嚢胞が増大、進行性に腎機能が低下、70歳までに約半数が末期腎不全に至る指定難病である。研究代表者らは各種腎疾患モデルラットを用いて長期的運動の腎保護効果とその機序に関する研究をこれまで行ってきた。ADPKDモデルであるpolycystic kidney (PCK)ラットにおいて長期的運動が嚢胞増大を抑制することを明らかにしたが、その機序の詳細はまだ明らかでない。 PCKラットにおいてGi蛋白共役α2アドレナリン受容体作動薬clonidineの腎嚢胞増大抑制効果を昨年度明らかにしたが、その中枢作用による食欲低下や体重増加抑制も認めたため、中枢作用がないα2AR作動薬tramazolineの効果を今年度検討した。 6週齢の雄PCKラットにtramazolineを12週間経口投与し、腎機能や腎組織像への効果を検討した。tramazolineは体重増加や尿量に影響せず、尿蛋白を減少させた。tramazolineは血漿クレアチニンを軽度増加させたが、糸球体硬化には影響せず、糸球体上皮傷害、腎嚢胞増大、嚢胞周囲の細胞増殖を抑制した。tramazolineは尿中AVP排泄を増加させたが、腎cAMP含有量には影響しなかった。 以上の結果から、PCKラットにおいて、中枢作用の有無に関わらずα2アドレナリン受容体作動薬は腎嚢胞増大を抑制することが明らかになった。このα2アドレナリン受容体作動薬の腎嚢胞抑制効果には、尿細管への直接作用が関与すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動療法による多発性嚢胞腎の進行抑制効果における交感神経の関与について研究したところ、PCKラットにおいて、非中枢性のα2アドレナリン受容体作動薬であるtramazolineが食欲低下や体重減少を伴わずに腎嚢胞増大を抑制すること、このtramazolineの腎嚢胞増大抑制効果の機序にはclonidineと同様にcAMP系の抑制が関与することも明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、clonidineやtramazoline以外のα2-アドレナリン受容体作動薬の効果を検討すると共に、α2-アドレナリン受容体拮抗薬であるyohinbineの併用投与下でα2-アドレナリン受容体作動薬や長期的運動の腎嚢胞増大効果も検討していく予定である。
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