研究課題/領域番号 |
21K19750
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大山 潤爾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (00635295)
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研究分担者 |
和田 真 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 研究室長 (20407331)
高松 誠一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20635320)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 身体性 / バーチャルリアリティ(VR) / デザイン / 身体所有感 / 拡張体験 / マルチモーダル / 学習 / トレーニング / ヴァーチャルリアリティ / サイバーフィジカル / 身体化 / 認知 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,トレーニング・リハビリ・技能訓練における“言語化できない感覚を如何に言語化するか”という課題に対して,“言語を介さず身体感覚をダイレクトに体に伝える”という発想の転換により,新しい教育や学習の選択肢を提案する挑戦的な研究である.本技術が確立できれば,スポーツ・伝統芸能から医療・福祉分野まで幅広い研究応用が期待できる.
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研究実績の概要 |
初年度は、身体所有感を向上し他者のアバター身体に憑依する身体認知転移技術のための実験用プラットフォームとしてマルチモーダルVRシステムを構築した。触覚呈示用ウェアラブルデバイス技術についいては、研究分担者の高松博士が開発を進めてきたデバイス技術を応用し、振動モータとリボン状回路と発泡超弾性体のプラトー領域を用いた皮膚への密着性向上技術を用いて、上半身に対して同時に6か所刺激を可能とするデバイスを試作した。 また、マイコンを用いてモータの制御を行い、Unityを用いたVR上の映像と同期して無線通信で刺激するシステムの開発も行った。人の腕等の動きについて誘導するためのデバイス上の準備が整った。こうした研究成果は、国際会議2022 International Conference on Electronics Packagingに採択され、次年度の発表を予定している。 平行して研究代表者の大山博士が開発した旧式のデバイスを使い、視覚的な姿勢の表示と、姿勢の一致/不一致の視覚フィードバックと触覚フィードバックの3つの情報によるマルチモーダルVRシステムにおいて、情報呈示条件の違いが他者の姿勢の学習効率と身体所有感に及ぼす影響を調べた。こうした研究成果は、情報処理学会INTERACTION2022に採択され、その中のプレミアム発表に採択された(採択率約17%)。 さらに、本研究では、“言語を介さず身体感覚をダイレクトに体に伝える”ための研究開発を目指しているが、研究分担者の和田博士の研究してきた身体所有感と自閉症スペクトラム症との関係から、アバター身体に憑依する評価実験に向けて、自閉傾向などの特性が影響を及ぼす可能性を考慮した、具体的な伝達手法と検証方法について検討した。身体性と自閉傾向に関する知見は、自閉スペクトラム症国際シンポジウムおよび第6回進化生態医学研究会で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他者に憑依する身体認知転移技術のための効果的なマルチモーダルVRコンテンツおよびデバイスのデザインについて検討し、デバイスの開発および実験方法の検討までを行うことができた点は、当初の計画以上に進展している。新型コロナウイルスによる活動自粛の影響が想定よりも長く続いており、プロ(熟達者)を対象とした評価実験の実施が難しく、準備がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
すでに開発している身体認知転移技術のハードウェアを用いて、専門性の高い技能や身体表現などにおけるマルチモーダルコンテンツを開発し、プロ(熟達者)の姿勢や動作を計測し、その身体感覚を学習者が体感し、プロ(熟達者)の姿勢や動作の学習や理解に有効であるかを評価する。その結果を分析し、より有効な設計を検討することで、身体認知転移技術における基盤技術の確立に向けた基礎的知見を得る。
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