研究課題/領域番号 |
21K19757
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
海老原 格 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80581602)
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研究分担者 |
若槻 尚斗 筑波大学, システム情報系, 教授 (40294433)
水谷 孝一 筑波大学, システム情報系, 研究員 (50241790)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 音響測位 / マルチパス / ドップラー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,低SN環境で大きな残響・ドップラーの同時計測・排除が可能なディジタル通信方式を設計し,音響GPSに導入する.さらに,受信機が残響・ドップラー情報を計測し,不要信号を排除する仕組みを構築することで,音響GPSの諸課題を同時に解決する.
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研究実績の概要 |
○通信環境の計測とパラメータ設計:移動体の測位を想定し,受信機が0.2~0.3 m/sで移動する動的環境下における通信路の遅延広がりとドップラー広がりを実験で計測した.そして,観測された通信路の遅延広がりとドップラー広がりを利用して,既存の放送機器やスマートフォンが 有する周波数帯域を考慮に入れながら,前年度に構築した残響・ドップラー対応音響モデムにおける信号の最適パラメータ(搬送波周波数,帯域幅,ガードバンド等)を設計した.
○残響・ドップラー対応音響モデムの性能評価:前記で設計したパラメータを用いて,残響・ドップラー対応モデムの性能を,シミュレーションおよび実験で評価した.周期的なM系列信号を送受信することで距離を推定する信号処理方式をベンチマークとして選定した.その結果,受信機が0.2~0.3 m/sで移動する環境において,提案した残響・ドップラー対応モデムは,受信信号の信号電力対雑音電力比(Signal-to-noise ratio; SNR)が低下しても,ベンチマークを上回る10mmオーダの精度で送受信機間の距離が推定できること,SNRが大きければ等化後のビット誤り率が0になることが明らかになった. 提案手法は,測位用の信号しか送信できないベンチマークと異なり,測位用の信号とメッセージを同時送信する能力を有している点が特徴である.また,測位用の信号とメッセージを同時送信することは可視光を用いても行うことが可能であるが,現時点では音響測位の方が優れた精度を有している.従って,提案手法は,動的環境における屋内測位に適していることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,移動体の測位を想定し,動的環境下における通信路の遅延広がりとドップラー広がりを実測することが出来た.そして,設計したパラメータを用いて,残響・ドップラー対応モデムの性能を,シミュレーションおよび実験で評価した結果,提案した残響・ドップラー対応モデムはベンチマークを上回る精度で送受信機間の距離が推定できることを明らかに出来た.
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今後の研究の推進方策 |
実験において提案手法が安定したデータ伝送と測距を実現できることが明らかになったため,今後は,複数の距離を計測し,三角測量の原理に基づいて位置を測定する仕組みに発展させる.そして,屋内における移動体の測位実験を実施していく予定である.
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