研究課題/領域番号 |
21K19760
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 幹夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00391342)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | スケーリング則モデル / 粗視化 / Parcel / Coarse-grained DEM / デジタルツイン / Refined Grid Model / 粉体 / Discrete Element Method / 離散要素法 / スケーリング則 / 数値流体力学 / 不連続体 / データサイエンス / 粒子法 / 粉体工学 / 符号付距離関数 |
研究開始時の研究の概要 |
不連続体である粉体の数値シミュレーションには、ラグランジュ的手法のDEMが広く使われている。DEMでは、最新の計算機を使用してもスプーン数杯分の粉砂糖に含まれる粒子数しか計算を実行することができなかった。この問題を解決するために、研究代表者によってスケーリング則モデルのDEM粗視化モデルが開発された。本研究では、粉体シミュレーションの応用範囲を広げるために、粒子の表面状態および非球形粒子を対象としたDEM粗視化モデルを新たに開発する。本研究成果は、粉体シミュレーションの研究対象を大幅に拡大させられるため、既存の粉体が係わる学術体系・方向を大きく変革させることが期待できる。
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研究実績の概要 |
工業製品の多くは、原料、中間体、または最終製品のいずれかにおいて粉体として取り扱われる。不連続体である粉体の数値シミュレーションは、その支配方程式が確立していないため、個々の固体粒子の挙動をラグランジュ的手法により模擬するDiscrete Element Method(DEM)が使用されている。DEMシミュレーションにおける計算粒子数は、最新の計算機(1台)であっても数百万個程度(スプーン数杯分の粉砂糖の粒子数)であり、計算粒子数が実質的に制限されている。このような計算粒子数の制限に関する問題を解決するために、研究代表者はDEM粗視化モデルを開発した。本研究では、DEM粗視化モデルの応用範囲を広げるための研究に取り組む。本年度は、接触力のエネルギー消散の改良に関するモデル化に取り組み、粉体流動試験の体系において数値シミュレーションによる妥当性確認を行った。接触力のエネルギー消散を改良したDEM粗視化モデルが、実際の粉体の挙動を模擬できることをした。上記のDEM粗視化モデルの高度化に関する研究の他に、固気液三相流体系においてDEM粗視化モデルが応用できることを示した。その際、空隙率とComputational Fluid Dynamics(CFD)の計算格子を別々に設定し、CFDの格子サイズを空隙率の格子サイズよりも細かく生成するRefined Gridモデルが有効であることを示した。また、DEM粗視化モデルの妥当性確認において固有直交分解が有効であることも示した。以上のように、DEM粗視化モデルについて、要素モデルの開発、妥当性確認手法の開発および応用研究に取り組んた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度もDEM粗視化モデルの接触力のエネルギー消散の改良に関する研究に取り組み、モデル化を確立した。粉体流動試験の体系において数値シミュレーションによる妥当性確認を行い、接触力のエネルギー消散を改良したDEM粗視化モデルが、実際の粉体の挙動を模擬できることを示した。さらに、固気液三相流体系においてDEM粗視化モデルの妥当性確認を行い、DEM粗視化モデルの数値シミュレーションから得られた粉体のマクロ挙動がオリジナル体系のものとよく一致することを示した。その他に、DEM粗視化モデルの妥当性確認のための新しい手法を開発した。以上の2022年度の研究の進捗状況から、おおむね順調に研究が進展したと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究計画に基づいて研究を進め、接線方向のエネルギー消散の改良を行う予定である。様々な産業の粉体プロセスにおいて計算結果と実験結果が一致することを確認し、本研究で開発したDEM粗視化モデルの妥当線確認を行う。DEM粗視化モデルにおいて、粗視化による物理現象の簡略化に係るチューニングパラメータが必要となる場合、データ駆動により係数などを決定できる可能性があるので、データサイエンスとの融合についても検討したい。2023年度は最終年度のため、本研究において開発した改良型DEM粗視化モデルを多くの体系に応用して特長などを整理したい。さらに、研究課題の抽出も行い、次の研究テーマを考えたい。
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