研究課題/領域番号 |
21K19764
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
飯盛 浩司 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (50638773)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | グリーン関数 / キャビティ散乱 / 境界要素法 / 共鳴 / ゾンマーフェルト積分 / 層ポテンシャル / cavity scattering / S行列 |
研究開始時の研究の概要 |
境界要素法は、測度無限大の境界を有する領域における波動散乱問題の有力な数値解法である。近年では、フォトニック結晶やメタマテリアル等の新規材料を用いた革新的な波動デバイスの設計開発を見据え、境界要素法の更なる高度化が盛んに研究されている。古くから続く研究の主流は、個々の問題に対する適切なグリーン関数の解析的な評価・高速な数値計算を基礎とする各々の問題に特化した高度な境界要素法を構築するというものである。しかしながら、一般にグリーン関数の評価は難しく、汎用的な方法が望まれる。本研究では、これまでの研究の流れを大きく転換し、グリーン関数の代わりにS行列を用いる新しい境界要素法を構築することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、測度無限大の境界を有する領域(半無限領域や層状領域など)で定義された波動散乱問題を対象とし、グリーン関数が求まらない場合においても利用可能な汎用的な境界要素法の開発を行った。具体的には、層ポテンシャルとゾンマーフェルト積分の両方を用いるハイブリット積分表現に基づく間接型境界要素法において、見かけの固有値問題を回避する方法論を構築し、従来よりも高信頼かつ高精度な算法を実現した。さらに、半無限境界が局所的に摂動している場合(いわゆるキャビティ散乱)を取り扱うためのハイブリッド積分法を新たに開発し、開放型共鳴の数値計算へと応用した。提案手法により次世代の波動制御の可能性を拓いた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
境界要素法の古くから続く研究の主流は、個々の問題に対する適切なグリーン関数の解析的な評価・高速な数値計算を基礎とする各々の問題に特化した高度な算法を構築するというものである。本研究は、グリーン関数が求まらない場合においても利用可能な汎用可能な方法の構築をおこなった。特に、キャビティ散乱問題を高精度・高速に解くことのできるシンプルな境界要素法の開発に成功したことは計算科学の分野において学術的に意義深い。また、同問題はセンシングなどの分野において多くの応用を有することから、本研究で開発した新しい境界要素法は工学的にも利用価値の高いものであると考えられる。
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