研究課題/領域番号 |
21K19765
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小野 廣隆 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (00346826)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アルゴリズム / 組合せ最適化 / クエリー / プリプロセッシング / 局所構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では最適化計算型クエリー+プリプロセッシングのための新たなアルゴリズム論を展開する.最適化計算型クエリーのプリプロセッシングには,付加する補助情報の量と最適化自体の計算量の関係, プリプロセッシングに要する計算量と最適化自体の計算量の関係等,各種のトレードオフ関係が存在する.これは個別に研究されてきたアルゴリズム理論上の諸問題が最適化計算型クエリーに対するプリプロセッシングという設定で融合することを意味する.本研究はこの新しい計算スキームにおける汎用的なアプローチを構築,各種のトレードオフ関係の評価体系の提案をするとともに,実装・評価を通した新たなアルゴリズム設計論の展開に挑戦する.
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研究実績の概要 |
予め計算しておいた付加的な補助情報を元に高速に所望の解を計算する計算スキームを「最適化計算型クエリー」とそれを実現する「プリプロセッシング」と呼び,この最適化計算型クエリー+プリプロセッシングのための新たなアルゴリズム論を展開する.最適化計算型クエリーのプリプロセッシングには,付加する補助情報の量と最適化自体の計算量の関係,プリプロセッシングに要する計算量と最適化自体の計算量の関係等,各種のトレードオフ関係が存在する.この新しい融合モデルにおけるプリプロセッシングのための汎用的なアプローチを構築し,実装・評価を通して新たなアルゴリズム設計論を展開するのが本研究提案の大方針である.
2023年度は2022年度までに実施したグラフ最適化問題への応用のための局所的な最適構造情報保存のための計算量研究を発展させるとともに,最適化計算型クエリーのためのプリプロセッシングの研究に取り組んだ.ターゲットとして選んだ問題は2021年12月に国際会議ISAAC2021の最優秀論文「外平面グラフにおけるビアパス問題」で提案されたビアパス問題である.同論文では外平面グラフの構造を利用した最適化計算型クエリーに点数の逆アッカーマン関数のオーダー(つまり実質的には定数時間)で答えるためのプリプロセッシング法を提案している.我々はその結果を外平面グラフの上位クラスである直並列グラフに対しての拡張を可能とするSPQR木分解に基づくプリプロセッシング法の構築に成功した.この結果により,直並列グラフに対しては外平面グラフの結果の上位互換となる結果が得られただけでなく,各3連結成分が小さいようなグラフに対しても同様に高速なビアパスクエリシステムが構築できたこととなる.この結果は2023年12月に開催されたアルゴリズム論に関する国際学会ISAAC2023に採択された.現在,そのジャーナル版を執筆中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度まではプリプロセッシング自体よりは効率的なプリプロセッシングを実現するために解決すべき諸問題に焦点を当てた研究成果を行ったのに対し,2022年度以降はそれを踏まえ,本格的に最適化計算型クエリー+プリプロセッシングに関する研究成果が得られており,これは既存アルゴリズム+データ構造に関する結果を完全に包含する結果となった.その結果は定評ある国際会議(理論計算機科学分野におけるアジアトップ会議であるISAAC)に採択されており,一定の成果・評価が得られている.またこれまで得られた結果を発展が可能である.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度はプリプロセッシング自体よりは効率的なプリプロセッシングを実現するために解決すべき諸問題に焦点を当てた研究成果が得られたのに対し,2022年度以降は本格的に最適化計算型クエリー+プリプロセッシングに関する研究成果が得られており,更に結果が得られるものと考えている.以上を踏まえ,期間延長を行った2024年度は研究の発展とともに英文論文の出版にも力をいれ研究を進める予定である.
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