研究課題/領域番号 |
21K19776
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
冨山 宏之 立命館大学, 理工学部, 教授 (80362292)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 近似計算 / 高位合成 / 設計自動化 |
研究開始時の研究の概要 |
性能と計算精度を高い次元で柔軟にトレードオフすることが可能なLSIの高位合成技術を開発する。本研究の成果により設計されるLSIは、低いクロック周波数で動作させると誤差のない厳密な計算を行う。一方、周波数を高めて高速に動作させると、計算誤差が生じるものの、極力誤差が小さくなるような工夫が施されている。本研究により、機械学習やメディア処理などを高速に実行する組込みシステム/IoTシステムを実現することが可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、性能と計算精度を高い次元で柔軟にトレードオフすることが可能なオーバークロッキング近似計算回路の高位合成技術を開発することである。 1年目の2021年度は、オーバークロッキング近似計算回路の計算誤差を最小化することを目的として、既存の高位合成技術を再評価した。また、FPGAを対象としてオーバークロッキング可能な乗算器を開発した。 2年目の2022年度は、1年目の成果を発展させ、新しい高位合成技術の開発を目指した。その結果、主に以下の研究成果が得られた。 (a) 演算のマルチサイクリングとチェイニングを組み合わせる新しい高位合成スケジューリング手法を開発した。本提案手法は、時間制約と資源制約のもとで、計算誤差の最小化を目的としている。昨年開発した手法は、プログラム中の各乗算演算について、オーバークロッキングによる近似を行うか、マルチサイクリングによる厳密計算を行うかを、自動的に決定する。本年度新たに開発した手法は、前述の選択肢に加え、チェイニングとオーバークロッキングを組み合わせて近似を行う、マルチサイクリングとチェイニングとオーバークロッキングを組み合わせて近似を行う、マルチサイクリングとチェイニングとオーバークロッキングを組み合わせて厳密計算を行うという選択肢も含め、最適な決定を行う。最適解を求める整数計画法に基づく手法と、最適性の保証はないが良い解を高速に求めるヒューリスティックアルゴリズムを開発した。 (b) FPGAを対象として、オーバークロッキングに適した近似加算器を開発した。また、昨年開発した近似乗算器の改良を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、オーバークロッキング、マルチサイクリング、および、チェイニングの3つの技術を組み合わせることで、時間制約と資源制約のもとで出力誤差を最小化する新しい高位合成手法を開発した。この研究成果は、オープンアクセスの論文誌にて発表した。また、FPGAを対象として、オーバークロッキング可能で決定的な誤差を持つ近似加算器を開発した。この研究成果は、査読付き国際会議で発表し、Best Paper Awardを受賞した。 上述の通り、当初の計画通りに研究が進んでおり、国内学会、国際会議、および、論文誌での発表実績も順調に積み重ねている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主眼はオーバークロッキング近似計算回路の高位合成であり、高位合成において演算器の繋ぎ方や使い方を工夫することで計算誤差を小さくすることを狙っている。当初計画通り、新しい高位合成技術を開発し、良好な実験結果を得た。最終年度となる2023年度は、設計事例研究を行い、その結果を踏まえて高位合成技術を改良する。また、近似演算器(近似乗算器、近似加算器など)の内部構成についても改良の余地があると考えており、研究を継続する。
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