研究課題/領域番号 |
21K19782
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊福部 達 東京大学, 先端科学技術研究センター, 名誉教授 (70002102)
|
研究分担者 |
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | 視覚障害 / 聴覚障害 / 感覚代行 / 触覚呈示 / ワーキングメモリー / 感覚モダリティ / 自立支援 / 介護支援 / 高齢者 / 認知機能計測 |
研究開始時の研究の概要 |
国内の視覚・聴覚障害者のうち,高齢者の占める割合は50%を超えている. 彼らの一部は,十分な介護支援が得られていないことから, 自立生活を送る上で支障をきたしている.晴眼・健聴の高齢者の場合,自立度を測る様々なスケールや認知機能検査が適用できる.しかし,視覚・聴覚障害のある高齢者の場合は,感覚・知覚機能は計測できても,中枢系が関わる認知機能の測定手法は確立されていない.本研究では,視覚・聴覚障害者の空間認知機能やワーキングメモリを感覚代行手法により正確に計測する手法を開発し,彼らの若年期・高齢期での認知機能の一端を明らかにするとともに,その結果を基に自立支援・介護方策を提案する.
|
研究実績の概要 |
本研究での目的は、視覚・聴覚障害者の自立支援・介護方策を提案するために、当事者の認知機能であるワーキングメモリと遂行機能を調べることである。そのための手段として、本課題では、視・聴覚障害を残された感覚で代行させる「感覚代行機器」を利用した計測方法を開発した。開発機器を基に若年期~高齢期における認知機能特性の違いを調べ、その機能低下を補う自立・介護方策を提案した。 具体的には、(1)聴覚・触覚提示手法に基づく視覚障害者の認知機能計測システムの開発、(2)視覚提示手法に基づく聴覚障害者の認知機能計測システムの開発、(3)上記の計測システムを用いて、様々な年代の視覚・聴覚障害者における認知機能特性の相違点を把握し、その結果を基にした自立・介護支援方策を提案した。当年度は、主に、聴覚・触覚提示手法に基づく計測システムの開発を進めた。 具体的な成果として、聴覚のシステムでは、小型音源をマトリクス状に配置した「スピーカマトリクス」による聴覚提示システムを開発した。これを基に、視覚的オブジェクトをスピーカの場所に割り当てるとともに、個々のスピーカをボタン化することで、音源定位能力を用いた空間スパン課題を行えるようになった。一方、触覚の提示システムについては、先行研究で開発された触覚ゲームコントローラー (TactCon)を利用したゲームを利用して、多感覚モダリティ提示の有用性を調べた。その結果から、聴覚および触覚への即時による提示が多感覚モダリティ認識の上で重要であることを示した。 以上から、構築した提示システムを利用して、視空間ワーキングメモリに関する実験を進めることができ、また年代別・障害状況別・障害発症時期別による認知機能特性を把握することができるようになった。視・聴覚障害者の自立支援・介護方策を提案するための基礎的な課題を遂行した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症と、世界情勢の影響から、部品調達等に遅れが生じ、システムの開発に遅れが生じた。しかし、その後の回復により、本課題の目標をほぼ達成することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の成果を基に、開発した認知機能計測システムを利用して、視・聴覚障害者のワーキングメモリ計測と多感覚モダリティ提示の観点から実験プロトコルを作成する。測定システムにより得られた知見を基に、触覚と空間音響を使った視覚障害者用のゲーム「TactCon」を改良し、その有用性を実証していく。また、触覚を介した感覚フィードバックによる聴覚障害者用「歌支援システム」の改良化を進め、その有用性を確認する。得られた知見と技術に基づいて、楽しみながら自立・介護支援が行えるシステムを構築する。
|