研究課題/領域番号 |
21K19835
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
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研究分担者 |
鈴木 光次 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (40283452)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 大気反応性窒素 / 海洋窒素固定 / アンモニア / 有機態窒素 / 海洋大気 / 大気アンモニア / 反応性窒素 / エアロゾル / 大気エアロゾル / 海洋エアロゾル / 窒素固定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、海水中で微生物が窒素分子を(栄養塩として利用可能な)反応性窒素へと変換するプロセスである窒素固定に着目し、海洋表層の窒素固定生物が大気反応性窒素の有意な放出源となり得るかを明らかにする。実験室内における人工海水での窒素固定生物の培養および大気連続捕集と反応性窒素の測定により、窒素固定生物が生成する反応性窒素が大気へ放出される質量フラックスと気相・粒子相の質量割合、およびそのフラックス量を制御する支配要因の解明に挑戦する。
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研究成果の概要 |
本研究は、海洋表層の窒素固定が大気反応性窒素の有意な放出源となり得るかを明らかにすることを目的とし、窒素固定生物(トリコデスミウム)の室内培養-大気捕集実験を行った。約2か月の実験期間でトリコデスミウムの成長過程を捉え、対数増殖期では窒素固定による海水中への溶存全窒素の放出を確認した。全期間で、大気中の粒子相・気相ともにアンモニウム塩/アンモニアと水溶性有機態窒素が反応性窒素の主要な組成であった。酸性の反応性窒素の大気放出は対数増殖期と静止期で顕著であり、減衰期と死滅期では塩基性成分の大気放出が顕著であることが明らかになるなど、窒素固定に伴う反応性窒素の海水から大気への放出を初めて実証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海洋の窒素固定生物は、従来考えられてきた熱帯・亜熱帯などの貧栄養海域以外でも近年、極域などより広範囲にその存在が報告されている。海洋生物にとっての「利用源」である、窒素固定で生成された反応性窒素が大気の「放出源」になるという発想は従来なく、本研究は大気-海洋間の窒素収支の定量的理解において重要な知見をもたらし、その学術的意義は大きい。本研究で明らかになった海水から大気へ移行する反応性窒素は、大気微粒子の酸性度や新粒子生成など、大気質や粒子数変化の理解において重要であり、雲の生成などを通して海洋微生物が及ぼす気候影響などの理解において新たな研究展開が期待できる。
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