研究課題/領域番号 |
21K19844
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中沢 由華 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (00533902)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | ゲノム不安定性疾患 / VUS |
研究開始時の研究の概要 |
次世代ゲノム解析技術が普及し、各種疾患の発症原因となっている遺伝子変異同定が急速に進む一方で、意義が明らかでない変異 (Variants of Uncertain Significance: VUSs)のデータも大量に蓄積されてきている。本研究では、ゲノム不安定性を示す遺伝性疾患を対象に、マルチオミクス的アプローチによりVUSの病原性を評価し疾患原因変異を同定する新たな手法を確立するとともに、疾患治療薬候補の探索にも取り組む。
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研究実績の概要 |
次世代ゲノム解析技術が普及してきたことにより、各種疾患の発症原因となっている遺伝子変異の同定が急速に進んできた。しかし、同定される変異の多くは、疾患原因である事の確証が得られやすい、エキソン領域あるいはエキソンとイントロンの境界領域に生じたものである。一方、病的意義が明らかでない変異 (Variants of Uncertain Significance: VUSs)のデータも大量に蓄積されてきているが、これらVUSの疾患発症原因としての検証あるいは生物学的な意義付けについては、十分には行われていない。本研究ではゲノム不安定性を示す遺伝性疾患群を対象として、マルチオミクス的アプローチによりVUSの病原性について検討・評価し、疾患原因変異を同定する新たな手法の構築に取り組んでいる。ゲノム不安定性疾患群は、DNA損傷応答やDNA修復機構の先天的な異常により発症する様々な遺伝性疾患を包括しており、多種類の希少な疾患も含まれる。一般的に、次世代ゲノム解析で疾患原因変異が同定されるのは、およそ30-40%程度と言われており、残りの60-70%は発症原因が不明なままである。そこで、次世代ゲノム解析のみでは疾患原因が特定できないゲノム不安定性疾患疑い症例について、VUSの病原性評価により新規疾患原因変異の特定を目指した。また、マルチオミクス的アプローチを応用して、疾患治療薬・緩和薬・予防薬の探索にも取り組んだ。本年度は、初年度の解析にて特定された新規疾患原因変異を標的とした疾患治療薬・緩和薬・予防薬探索を実施し、有力な候補を得たほか、継続した対象症例の収集とVUSの病原性検証を行ったところ、さらに新たな疾患原因変異の同定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の成果にて、ゲノム不安定性を示す遺伝性疾患が疑われる症例で、次世代ゲノム解析のみでは疾患原因変異の同定が困難であったケースを対象に、ゲノム解析で抽出されたVUSについて病原性の検討と評価を実施し、新規疾患原因変異を同定しており、この変異情報をもとにマルチオミクス的アプローチにより疾患治療薬・緩和薬・予防薬探索を実施したところ、有力な候補を得ることに成功した。このことから、本探索法は創薬スクリーニングに活用可能であることが示された。また、継続した対象症例の収集とVUSの病原性検証を行ったところ、追加で新たな疾患原因変異の同定に複数成功している。以上の結果から、本研究課題は順調に進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の成果にて、ゲノム不安定性を示す遺伝性疾患が疑われる症例で、次世代ゲノム解析のみでは疾患原因変異の同定が困難であったケースを対象として、ゲノム解析で抽出されたVUSについて病原性の検討と評価を実施し、新規疾患原因変異を同定している。また、この変異情報をもとにマルチオミクス的アプローチにより疾患治療薬・緩和薬・予防薬探索を実施したところ、有力な候補を得ることにも成功している。これらの情報は広く共有することで、他の遺伝性疾患の原因変異探索や創薬にも貢献可能であると考えられることから、本研究成果を含む論文投稿を進める。
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