研究課題/領域番号 |
21K19848
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
市川 香 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40263959)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | GNSS / 海面反射 / 干渉計 / 波浪計 / 有義波高 / 波浪周期 / フェリー観測 / 海面反射波 / 波浪 / 有義周期 / 位相干渉計 / 有義波高計測 / GNSS-Reflectometry / 波浪計測 / GNSS海面反射信号 / 航走中船舶 |
研究開始時の研究の概要 |
安全で効率的な海上輸送には波浪予測は不可欠で,特に多島域など空間構造が複雑な海域では船舶による洋上の波浪計測が重要な役割を果たすが,いまだに船員による定性的な目視観測が行われている。これは,航走中は船体自身が動揺し,船体周辺にも造波してしまうためで,正確な波浪計測ができていないのが現状である。 本研究では,GNSS衛星からの直達信号と海面で反射した反射信号を用いて,波浪による海面の上下動を計測する手法を開発する。航走中の船舶から定量的な波高を可能とするこの技術は,多数の船舶に適用可能なため今後の全世界の波浪観測ネットワークを飛躍的に向上させることが可能である。
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研究成果の概要 |
海運や海洋資源開発に波浪場の推定は不可欠である。数値モデルの発達により推定精度は向上したが,特に沿岸域では波浪観測自体が不足している。そこで本研究は,航走中の船舶から安価に波浪の常時観測できる方法を確立させた。 GNSS信号の海面での反射波は直達波よりも長い経路長を通るため,両者は位相干渉して混合受信波の強度が変動する。波浪により海面高が変化して経路長差が約20cm変化するたびに受信波強度に周期的な干渉縞が生じ,その粗密の周期性と本数を計測することで波浪周期と有義波高の推定が可能となった。実際のフェリーでの観測データによって検証したところ,波浪周期・有義波高ともに良い精度で推定が可能であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
海運や海洋資源開発には波浪予測が不可欠だが,複雑な地形や海流の影響を受けて変化しやすい沿岸域の波浪予測の精度を上げるには,細かな波浪観測が不可欠である。国土交通省港湾局のナウファスなど,沿岸域の波浪観測網の維持管理は予算と手間のかかる事業であり,安価なシステムの開発が望まれている。 一方,今回の測定装置は,安価で小型・省電力のGNSS受信装置で構成されており,小型のアンテナを船体舷側に設置するだけで完了できる。つまり,低予算で多数の船に取付けて波浪観測網を充実させることができる。観測網が実現すれば,海運・海洋資源開発の観点から社会的な意義は大きい。
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