研究課題/領域番号 |
21K19849
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
早川 敦 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (10450280)
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研究分担者 |
尾崎 紀昭 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (50468120)
高橋 正 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (80132009)
渡辺 剛 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(釧路), 主任研究員 (80895920)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | リン循環 / リンの固液間平衡 / 低結晶性ケイ酸 / ケイ藻 / 鉄結合型リン / リン可溶化 / 非晶質ケイ酸体 / 珪藻 / もみ殻ケイ酸 / リン化学形態 / 低結晶性鉄 / 低結晶性アルミニウム / 溶存炭素 / 非晶質シリカ / 溶存ケイ酸 |
研究開始時の研究の概要 |
鉱物表面へのリン酸の強い吸着は,陸域生態系のリン制限をもたらす主要因である。近年,溶存シリカが鉄酸化物に吸着したリン酸や有機炭素を可動化するという現象が報告され,シリカとリン,炭素動態の固液間における密接な関連が示唆された。本研究では,固相中に存在するシリカの起源別の溶解性の評価に挑戦し,その溶解が,リンおよび炭素循環の「加速装置」として機能するという仮説を検証する。
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研究実績の概要 |
生態系の必須元素であるリン(P)は土壌固相中で鉄やアルミニウム,カルシウムなどに結合した化学形態で存在し,その可溶化は溶液組成に影響され,生態系のP循環を制御している。沿岸域の土壌中のPは鉄結合型を主体として蓄積し,ケイ酸(SiO2,以下Si)添加によってリンの可溶化が促進される可能性が指摘された。秋田県西部の森林流域の研究では,海成堆積岩地帯の河川堆積物中のPの主体は鉄結合型であり,渓流水中のP及びSi濃度が高く,PとSiの間,Pとナトリウム(Na)濃度に正の相関があることが明らかとなった。そのため,海成堆積岩地帯の高濃度Pには可溶化しやすい低結晶性Siや主要カチオンが関係している可能性があると考えられた。本研究では,異なる溶液組成および低結晶性Si 添加が堆積物中のリンの溶解に与える影響を,海成堆積岩および火成岩地域の河川堆積物を使用して評価した。2023年度では2022年度までに得られた堆積物の抽出液(320サンプル)の化学分析を実施するとともに,2021,2022年度に分離した珪藻2株(オビケイソウ,ササノハケイソウ)を培養しその珪藻殻を用いてケイ酸溶解特性試験を行い,その他の低結晶性Siを含むもみ殻,もみ殻燻炭,軽石と比較した。その結果,低結晶性Siの添加は堆積物からのリンの可溶化を有意に促進させ,可溶化を促す溶液組成も明らかとなった。天然由来の低結晶性Siとしては珪藻殻が溶解しやすく,固相リンとの相互作用が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ケイ藻培養および化学分析に時間を要したため,予定していた学会で成果の発表を行う事が出来なかった。また,単離培養したケイ藻や低結晶性Siを含有するその他の試料について,電子顕微鏡観察のための前処理と観察ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在は分析およびデータ解析が終了したため,今年度その成果を国際学会(European Geosciencea Union: EGU)で発表することになっている。電子顕微鏡観察のための試料の採取目途は立ったので,その前処理と観察を実施する。
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