研究課題/領域番号 |
21K19855
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坪内 直人 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90333898)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 環境技術 / 環境対応 / 有害化学物質 / 表面・界面物性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、化石資源の燃焼や廃棄物の焼却に基因する水銀の問題の解決を目指し、塩素で表面修飾した炭素質物質を用いる安価な水銀蒸気除去システムの開発を行う。初年度は提案する除去法の開発原理を確立するために必要な要素技術(高表面積・高活性サイト数の炭素質物質の調製や塩素で表面修飾した炭素ベース水銀吸着剤の製造)に関する研究を行い、最終年度は得られた結果に基づき実際の排ガス組成中での最適除去条件を明らかにする。また、水銀除去剤の再生法を確立する。最終的には、世界で最も厳しい水銀排出規制(カナダの3μg/kWh)を満足する除去技術を提案する。
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研究成果の概要 |
塩素で表面修飾した炭素ベースHg除去剤の開発のため、Cl担持に及ぼす金属種の影響を検討した。その結果、KやCaを含む炭素とHClの反応の程度は炭素活性サイトの増加で増大し、炭素単独と比較し無機と有機のCl種に帰属されるXPSピークの強度が顕著に増大した。また、安価な原料からの活性炭の製造を目指し、泥炭に尿素と埋蔵量に富む天然ソーダ灰を混合し800~900℃に加熱したところ、表面積と細孔容積の大きな活性炭を製造できることが見出された。さらに、もみ殻からのSiの回収残渣である塩素ドープ炭素質物質のガス状金属水銀吸着能は高く(従来の2倍以上)、水銀と塩素の相互作用は強いことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的には、安価な原料から調製した炭素質物質の表面をClで修飾し、Hg除去剤として用いる点に最大の特徴がある。このような試みは「低品位の褐炭由来の炭素活性サイトはHClと容易に反応して、有機Cl種に変化する」という発見に基づいており、極めて独創的な研究である。本成果は、コークス炉、焼結機のみならず高炉や電気炉の排ガスならびに石炭やバイオマスの燃焼排ガス、ガス化とガスタービンもしくは燃料電池を組み合せた複合発電システム用の燃料ガスなどに適応可能な簡便で低コスト型の高温ガス精製法に展開する可能性が多いに期待され、その社会的意義は非常に大きい。
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