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藍染の「発酵建て」から導く強アルカリ微生物燃料電池の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K19868
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分64:環境保全対策およびその関連分野
研究機関徳島大学

研究代表者

櫻谷 英治  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (10362427)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
キーワードインジゴ / 藍染 / 微生物燃料電池 / サイクリックボルタンメトリー / 酸化還元酵素
研究開始時の研究の概要

持続可能な開発目標(SDGs)に向けて需要が高まる再生可能エネルギー開発研究の中で、微生物の代謝能力を利用して有機物から電子を取り出す技術を活用した「微生物燃料電池」は、新しいエネルギー供給源として注目されている。
藍染めは、強アルカリ/嫌気条件下(藍染液中)で微生物の働きを利用して生地がインジゴによって染色される。過酷な環境下で活躍する微生物に注目し、藍染液から強アルカリ嫌気条件下で有機物を効率よく還元する微生物を探索し、高出力な新規強アルカリ微生物燃料電池の開発を目指す。

研究実績の概要

藍染めは微生物によって非水溶性のインジゴが還元されることによって生成したロイコインジゴを利用して布を染める染色技法である。布に付着したロイコインジゴは空気により速やかにインジゴへと再酸化される。本研究では、藍染液より高アルカリ条件下でインジゴを還元する微生物をいくつか単離することに成功した。同定の結果、これまでにインジゴ還元活性を有すると報告のあるアルカリバクテリウム属だけでなく、新たにエンテロコッカス属やアルスロバクター属のバクテリアもインジゴ還元活性を有することがわかった。藍染液中におけるインジゴの還元は、複数種の微生物集団によって行われていることが示唆された。
サイクリックボルタンメトリー(CV)による酸化還元電位測定:作製した藍染液の上清をCV測定したところ、インジゴ/ロイコインジゴの酸化還元ピークを得ることに成功した。この技術を活用することで、これまで定量が困難であったロイコインジゴの測定に応用できることがわかった。また、藍染液中に存在する化合物の添加効果をCV測定によって評価したところ、染液中の微生物はアセトアルデヒドをエレクトロンドナーとしてインジゴの還元に関与していることが示唆された。さらに、藍染液に微生物の栄養源を適切に添加することで還元力の低下した藍染液を回復できることがわかった。
単離した微生物がもつインジゴ還元酵素を探索するために数種のインジゴ還元活性を有する微生物を超音波で破砕し、セルフリーでのインジゴ還元活性評価を行った。不溶性画分においてインジゴ還元活性が確認された。膜画分に結合した酵素がインジゴ還元に関わっている可能性があり、界面活性剤による可溶化を検討しいる。また、菌体外電子伝達によってインジゴ還元が行われていることも考慮した研究を進める必要もある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

インジゴ還元微生物の探索に関しては、藍染色液の素になるすくもの違いや作成者の異なる染色液から多くの微生物を単離した。インジゴの直接還元を観察できる方法を開発し、単離菌のインジゴ還元活性を評価し、良好にインジゴを還元する微生物の単離に成功した。これらの微生物がもつインジゴ還元酵素を探索するために数種のインジゴ還元活性を有する微生物を超音波で破砕し、セルフリーでのインジゴ還元活性評価を行った。不溶性画分においてインジゴ還元活性が確認されたため種々の界面活性剤による可溶化を試みたところ特定の界面活性剤でのみ可溶性画分でインジゴ還元活性を確認することができた。今後はインジゴ還元活性評価の簡素化と各種クロマトグラフィーによる酵素精製を進める必要がある。また、菌体外電子伝達によってインジゴ還元が行われていることも考慮した研究を進める必要もある。

今後の研究の推進方策

界面活性剤で可溶化した細胞破砕上清を用いてインジゴ還元評価の簡素化を行う。現時点では、培地成分など複数の化合物が混入した評価系を使用しているため、よりシンプルな組成の評価系を構築し、かつ、短時間での評価方法を検討する必要がある。これと並行して、各種クロマトグラフィーによる酵素精製を進める。粗精製の段階まで到達した後、タンパク質のアミノ酸配列から酵素遺伝子の同定を行う。使用するインジゴ還元菌のゲノムデータも並行して取得する計画である。
強アルカリ微生物燃料電池の製作に関しては、選抜した微生物を電極に固定して機能するか評価する。固定するために凍結乾燥などの処理を施す必要があるが、その過程でインジゴ還元活性が維持できるかも評価する。また、粗精製した酵素を強アルカリ微生物燃料電池に応用できるかも試験する。
菌体外電子伝達によってインジゴ還元が行われていることも考慮し、電子供与体を再度検討する必要がある。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Isolation and characterization of indigo-reducing bacteria and analysis of microbiota from indigo fermentation suspensions2021

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Kasumi、Takeuchi Michiki、Tada Manami、Matsunaga Momoka、Kugo Masami、Kiyofuji Suzuna、Kikuchi Mayu、Yomota Kazuya、Sakamoto Takaiku、Kano Kenji、Ogawa Jun、Sakuradani Eiji
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 86 号: 2 ページ: 273-281

    • DOI

      10.1093/bbb/zbab209

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Indigo-Mediated Semi-Microbial Biofuel Cell Using an Indigo-Dye Fermenting Suspension2021

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi Mayu、Sowa Keisei、Nakagawa Kasumi、Matsunaga Momoka、Ando Akinori、Kano Kenji、Takeuchi Michiki、Sakuradani Eiji
    • 雑誌名

      Catalysts

      巻: 11 号: 9 ページ: 1080-1080

    • DOI

      10.3390/catal11091080

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Voltammetric in-situ monitoring of leuco-indigo in indigo-fermenting suspensions2021

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa, K., M. Takeuchi, M. Kikuchi, M. Tada, T. Sakamoto, K. Kano, J. Ogawa, E. Sakuradani
    • 雑誌名

      J Biosci Bioeng

      巻: - 号: 5 ページ: 565-571

    • DOI

      10.1016/j.jbiosc.2021.01.005

    • NAID

      40022568972

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mechanistic Insights into Indigo Reduction in Indigo Fermentation: A Voltammetric Study.2021

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa, K., M. Takeuchi, M. Kikuchi, S. Kiyofuji, M. Kugo, T. Sakamoto, K. Kano, J. Ogawa, E. Sakuradani
    • 雑誌名

      Electrochemistry

      巻: 89 号: 1 ページ: 25-30

    • DOI

      10.5796/electrochemistry.20-00123

    • NAID

      130007965922

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 藍染液中のインジゴ還元におけるリグニンの役割2024

    • 著者名/発表者名
      大畑陽花、中川香澄、竹内道樹、阪本鷹行、櫻谷英治
    • 学会等名
      日本農芸化学会中四国支部第 67 回講演会(例会)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 藍染め染色液の電気化学的解析と微生物燃料電池への応用2022

    • 著者名/発表者名
      竹内道樹、中川香澄、菊地真由、宋和慶盛、松永桃花、阪本鷹行、安藤晃規、小川順、加納健司、櫻谷英治
    • 学会等名
      電気化学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-07-13   更新日: 2024-12-25  

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