研究課題/領域番号 |
21K19877
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 (2022) 北海道大学 (2021) |
研究代表者 |
角五 彰 京都大学, 理学研究科, 教授 (10374224)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | 微小管 / 物質輸送 / キネシン / ダイニン / 力学ストレス / メカノトランスデューサー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、”微小管は、細胞内で力学ストレスに対する変換器(メカノトランスデューサー)として機能しうるという”作業仮説を以下の取り組みを通して検証することを目的とする。力学ストレスにより変調される物質輸送の①モータータンパク質種の依存性、②微小管の微細構造変化との相関性、③動力学計算によるメカニズムの考察を通して検証する。本研究成果は、1)細胞を取り巻く力学環境を研究対象としたバイオメカニクスやメカノバイオロジーなどの学術分野や、2)力学的なストレスが要因とされる外傷性脳損傷などの神経疾患分野、3)力学センサーなどの開発を目指すソフトマテリアルを含めた材料科学分野などへの波及効果も期待される。
|
研究実績の概要 |
最近、細胞骨格である微小管に力学的なストレスが印加されるとモータータンパク質(ダイニン)を介した物質輸送が変調されるという現象を発見した。本研究では、この現象を掘り下げることで、“微小管は、細胞内で力学ストレスに対する変換器(メカノトランスデューサー)として機能しうる”という概念を世界に先駆けて実証することを目的とする。具体的には、力学ストレスにより変調される物質輸送の、①モータータンパク質種の依存性、②微小管の微細構造変化との相関性、③動力学計算によるメカニズムの考察を通して検証する。本研究は、当該分野の議論の中心となっている微小管の力学ストレスと機能との関連性を、独自開発の装置で検証する萌芽的な課題となっている。本研究成果は、1)細胞を取り巻く力学環境を研究対象としたバイオメカニクスやメカノバイオロジーなどの学術分野や、2)力学的なストレスが要因とされる外傷性脳損傷などの神経疾患分野、3)力学センサーなどの開発を目指すソフトマテリアルを含めた材料科学分野などへの波及効果も期待される。昨年度は課題②に取り組み、力学ストレスに対する微小管の微細構造変化と物質輸送との相関解析に取り組む。具体的には力学ストレスに対する物質輸送(キネシン)の変調現象と微小管の微細構造変化との相関を、開発済みのマイクロ引張圧縮試験機と高速原子間力顕微鏡(AFM)イメージング技術を用いて明らかにする。得られた画像データから、微小管を構成するチューブリンや、チューブリンの重合体であるプロトフィラメントなどの構造に関する解析を、さらに物質輸送速度、運動直進性、プロフィラメントの追従性などの解析を行うことで、課題①では得られない微視的な情報を得た
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた力学ストレスに対する微小管の微細構造変化と物質輸送との相関解析、さらに物質輸送速度、運動直進性、プロフィラメントの追従性などの解析など、予定した計画通りに研究が進展しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、微小管は、細胞内で力学ストレスに対する変換器(メカノトランスデューサー)として機能しうるという概念を理論的にも実証するため、課題③動力学計算によるメカニズムの考察を通して検証する。具体的には力学ストレスが印可された際の微小管の構造的変化と、それに伴うモータータンパク質との親和性の変化を全原子動力学計算で解析することで、物質輸送変調機構の理論的な考察を行う。全原子動力学計算の対象としては、微小管を構成するヘテロ二量体とキネシンの複合体とする。力学ストレスに対する微小管の構造的変化は、ヘテロ二量体(重心位置)に仮想的な圧縮あるいは引張ストレスを印加することで評価する。またキネシンやヘテロ二量体と結合するヌクレオチドの影響についても検討する予定である。
|