研究課題/領域番号 |
21K19885
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒井 康行 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00235128)
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研究分担者 |
西川 昌輝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (40843149)
新宅 博文 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 理研白眉研究チームリーダー (80448050)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 肝細胞 / 創薬支援デバイス / 肝機能 / 多核 / ゾネーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、同一細胞内の核ごとの遺伝子発現の比較を通じ、多様な核型に加えて単核と二核が入り混じるヘテロな肝細胞の生理学的役割分担を解明することを目的とする。 肝臓の最小構成単位である肝小葉では、門脈から中心静脈に向かって肝細胞に位置に応じた役割分担があり、結果として多くの肝疾患も部位特異的に起こる。この役割分担は、肝細胞のヘテロ性や酸素濃度勾配などによって惹起されるとされるが、それらの関係や寄与率は分かっていない。本研究は肝細胞の役割分担のメカニズム理解に直結し、創薬や医療、基礎生物学へ貢献する重要な成果となると考える。
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研究成果の概要 |
成熟肝細胞の核型は多様で、さらに約60%は二核であるが、そのヘテロ性の生理学的な役割は不明である。本研究では、ヘテロな肝細胞の生理学的役割分担の解明と創薬や医療への応用を目的とした。まず、二核を単一の核に分離するための条件を検討した。細胞骨格形成阻害剤処理後に細胞質を溶解することで、二核がそれぞれ形を保持したまま単核に分離可能であることを見出した。また、この条件下で細胞質RNAが十分除去可能であることを確認した。さらに、分離した同一細胞由来の二核をオートマニピュレーターで個別回収し、単一核からRNA-seq用ライブラリを作成することで、同一細胞内の核ごとの遺伝子発現解析への道筋を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肝細胞のヘテロ性の生理学的役割の解明を目指す本研究は、肝臓のZonationのメカニズム理解に直結し、肝臓・肝細胞の培養系や数理モデルの精緻化による創薬や医療への貢献につながる重要な成果となる。メカニズムにもとづくボトムアップ的な肝臓の理解を達成することで、世界に類を見ないバーチャル肝臓の構築に発展しうる。バーチャル肝臓による薬物応答ダイナミズムの高精度な予測やその個別テーラーメード化は、近未来の創薬や医療のスタンダードになると考えられ、本研究はその進展に大きく貢献するものである。
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