研究課題/領域番号 |
21K19902
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松本 健郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30209639)
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研究分担者 |
前田 英次郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20581614)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | メカノバイオロジー / 細胞核 / クロマチン / DNA / 力学刺激 / バイオメカニクス / メ力ノバイオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
細胞機能が核内DNAの物理的な分布の違いに影響されることが認識され始めている.例えば血管組織内の平滑筋細胞ではDNAが核膜付近に局在しているのに対し,数週間培養し増殖が盛んになる(脱分化)とDNAが核内に満遍なく拡がってくる.脱分化細胞ではDNAの2重ラセンが緩みやすく,よってmRNAの合成が生じやすく,結果として蛋白合成や増殖が活発になると推定される.ところで我々はDNA分布が核の変形で容易に変化することを見出した.そこで本研究では,細胞核を定量的に変形させた後のDNA分布の変化を顕微鏡下で詳細に調べる装置を開発し,核変形によるDNA分散と細胞機能の変化との関係を調べることを目的とする.
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研究成果の概要 |
骨芽細胞様細胞MC3T3ーE1を幅10μm,長さ100μmの狭隘部を有するマイクロ流路に通し細胞核を圧縮した.流路通過で核内DNA凝集塊の数が減ったが総体積は変わらず,凝集塊同士が融合した可能性が考えられた.また,流路通過で細胞増殖率が低下した.S期の細胞核に振幅1μm,周波数800Hzの動的圧縮を5分間加えると,凝集塊の数が有意に低下,細胞核の投影面積は変化なかった.非S期の場合は,凝集塊数が増加,投影面積面積も有意に増加した.S期では複製のためにDNAが緩むため外力で凝集塊が減少し,また緩んだDNAが核膜を内側から押すことにより核内圧が上昇し,核が潰れにくくなった可能性が考えられた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞核を圧縮することでクロマチン凝集体の個数や総体積が変化することは判っていたが,細胞周期の影響があることが確認できた点,また,その影響がS期と非S期のクロマチンの凝集状態の違いから説明できそうであることが判った点が第1の成果である.またこれまでは凝集体の個数や体積の変化の理解に留まっていたが,マイクロ流路を通すことにより,増殖能にも変化が現れることが判った点が第2の成果と言える.
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