研究課題/領域番号 |
21K19903
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
中村 匡徳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20448046)
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研究分担者 |
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20532104)
重松 大輝 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (50775765)
氏原 嘉洋 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80610021)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 細胞膜 / SHG / 分子動力学 / 損傷 / 細胞膜損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜は細胞内外を隔てる境界である.膜の損傷は,赤血球の崩壊である溶血や心筋細胞の機能異常である心不全などの疾患に直結する.しかしながら,膜の損傷度を定量化する技術は現存せず,現象の理解が遅れている.本研究では,光学技術に基づく細胞膜の分子レベルの損傷度の定量化法を確立する.膜での孔の形成やそれにつながる分子レベルでの膜構造変化を膜損傷として捉え,分子動力学計算により膜損傷の物理を理解するとともに,SHG光観察系により力学負荷を与えたリポソームの膜損傷を定量化することに挑戦する.確立した技術を赤血球や心筋細胞に展開し,膜損傷を起点とする疾患の理解や診断法・治療法の創出を目指す.
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研究実績の概要 |
細胞膜は細胞内外を隔てる境界である.膜の損傷は,赤血球の崩壊である溶血や心筋細胞の機能異常である心不全などの疾患に直結する.しかしながら,膜の損傷度を定量化する技術は現存せず,現象の理解が遅れている.本研究では,光学技術に基づく細胞膜の分子レベルの損傷度の定量化法を確立する.また,分子動力学計算により膜損傷の物理を理解するとともに,SHG光観察系により力学負荷を与えたリポソームの膜損傷を定量化することに挑戦する. 2022年度の実験ではリポソームの作製において材料としてDOPCを、作製法として水和法を用いたがデータにばらつきが多かった。これは、リポソームの大きさなどが安定しなかったためであると考え、2023年度は材料としてPOPCを、作製法として界面通過法を用いることとした。昨年度同様、これにAp3を付加して、電気刺激を与えた。結果は、電気刺激のパルス間隔が長くなるほど,パルス回数に対するSHG輝度の低下率が増加しており、パルス印加によってSHG輝度がより大きく減少した。この結果は、2022年度の結果と定性的に異なっていたが、その理由は不明である。そのため、研究期間を延長し、再現性の確認を現在行っている。計算ではAp3膜層間移動の透過係数を算出した.結果として,128-1系と128-8系の2つで値が近しい時定数が得られた.また、時定数と孔密度の関係を数式で表現することを試みた.また,その関係式を実験データに適用することで,実験における孔の数を推定した.時定数と孔密度が既知であるデータが少なかったため値が取り得る範囲を十分に絞り込めなかったが,実験における孔の数を大まかに推定できた。これにより、SHGによる光学観察と分子動力学計算の融合し、SHG光輝度から細胞膜に空いた孔の密度(すなわち損傷)を評価できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績に記載した通り、2023年度リポソームの材料や作成方法を変えたところ、2022年度の結果とは定性的に異なる結果となった。これにおいて、実験データの再現性の確認に年月を要しており、当初予定していた細胞での実験に取り掛かることができなかった。分子動力学計算については、予定していた内容をほぼ終えており、論文化に取り掛かっている。
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今後の研究の推進方策 |
実験データの再現性を確保するため、追加実験を行っている。新しい実験ではなく、同じ実験を繰り返して行うだけであるので、進みは問題ない。細胞を用いた実験にも着手する。
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