研究課題/領域番号 |
21K19904
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 康友 京都大学, 医学研究科, 教授 (00337338)
|
研究分担者 |
鯉渕 晴美 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20382848)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 褥瘡 / 横波 / 治療 / バイオフィルム / 振動 / 血管新生 |
研究開始時の研究の概要 |
褥瘡は皮膚組織の循環障害が生じ、ついには壊死に至る病態である。さらに抗生剤抵抗性感染症の合併はほぼ必発で、その主な原因は起因菌自ら産生し鎧のようにまとうバイオフィルムであり、高齢者の在宅医療推進に大きな障害となっている。本研究は、バイオフィルム形成を阻害する手法としてのみならず皮膚組織の循環障害の改善法として、褥瘡被覆材の加振により発生する「横波」に着目し、難治性感染症の予防を可能とする褥瘡の新しい治療法を開発することを目的としている。さらに本研究は、生体作用について不明な点の多い「横波」の学術的・医療資源的可能性を明らかにする挑戦的研究である。
|
研究実績の概要 |
褥瘡は身体の一部が長時間にわたり圧迫を受け、皮膚組織の循環障害がおこり、発赤・腫脹・びらん・潰瘍の形成を経て、ついには壊死に至る病態である。さらに抗生剤抵抗性感染症の合併は必発で、抗生剤抵抗性の主な原因は緑膿菌などの起因菌自ら産生し鎧のようにまとうバイオフィルムであり、褥瘡の難治化は高齢者の在宅医療推進に大きな障害となっている。本研究は、バイオフィルム形成を阻害する手法としてのみならず皮膚組織の循環障害の改善法として、褥瘡被覆材の加振により発生する「横波」に着目し、難治性感染症の予防を可能とする褥瘡の新しい治療法を開発することを目的としている。①褥瘡被覆材におけるバイオフィルム形成状態の評価法の精査:定量的評価が可能であるか引き続きの検討、②実臨床で問題になる緑膿菌における市販の電動歯ブラシを用いた加振のバイオフィルム阻害効果関する検討、③市販の電動歯ブラシを用いた加振の正常皮膚血流に及ぼす影響についてレーザー血流計を用いた評価のプロトコルの確立に関する検討着手、を行った。 結果を以下に記す。①市販のバイオフィルムキットを用いた、被覆材上のバイオフィルムの定量的評価を試みた。2種類の被覆材について試みたが、被覆材以外の実験系(シャーレ)にバイオフィルムが残っており定量的評価は難しいと判断した。そこで実験系(被覆材およびシャーレ)を洗い流し、その洗浄液を回収、混濁度を評価する方法の可能性について検討した。数回の実験にて安定したデータが得られることより、この方法をバイオフィルムの定量的評価法として採用することとした。②市販の電動歯ブラシを用いた加振による緑膿菌バイオフィルム阻害効果について、シャーレ培地のみ、およびシャーレ+被覆材 について検討した。いずれも加振による阻害効果は大きいものであった。③レーザー血流計センサーと加振歯ブラシそれぞれの装着部位について検討を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオフィルムに関する検討から着手したところ、想定通りの結果が得られており、順調に進展していると考える。一方で、血流評価に関してはより精度よく検討可能であるレーザー血流計を用いることに変更した。動物実験の前に、健常人皮膚を用いて、加振の皮膚血流への影響を評価するプロトコルの確立に着手した。
|
今後の研究の推進方策 |
バイオフィルムに関する検討について引き続き緑膿菌を用いて in vitro の検討を進めていく。また、加振の皮膚血流への影響を評価するプロトコルの確立については、様々なケースを想定して進めていく予定である。すなわち、加振しながらリアルタイムに血流評価が可能である場合と、加振の影響で血流評価が困難な場合である。後者である場合は、血流計センサーおよび加振器の装着部位について詳細に検討し、リアルタイムに血流評価が可能な設定を探索する。
|