研究課題/領域番号 |
21K19905
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川本 卓男 京都大学, 環境安全保健機構, 教授 (10231276)
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研究分担者 |
堀江 正信 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (60727014)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ES細胞 / 人工多能性幹細胞 / 機能強化 / 細胞融合 / 人工多能性細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
ES細胞の持つ初期化能を利用して、ES細胞と体細胞と融合させることで、体細胞由来の核を初期化して、安全なiPS細胞を効率よく調製する方法を確立することが、本研究の目的である。 本研究の提案する方法は、体細胞に遺伝子操作を加えることもなく、また、危険な薬品も不要なため、従来法に比べ、安全性も高いと考えらことから、社会に与えるインパクトは大きいと考えられる。
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研究実績の概要 |
マウスES細胞の機能を強化するために、体細胞を初期化して人工多能性幹細胞(iPS細胞)樹立するために用いられる初期化4因子(Oct3/4, Sox2, Klf4, L-myc)を、レトロウィルスベクターを用いて、マウスES細胞(129Sv株)に導入した。 感染したマウスES細胞の増殖能およびモルフォロジー、未分化マーカー遺伝子(Nanog)の発現状況を、元のES細胞と比較したところ、大きな変化は変化は見られなかった。 また、マウスES細胞の機能を強化する方法として、細胞融合に着目して、まず、手始めに、マウスES細胞とマウス胎児線維芽細胞(MEF細胞)の細胞融合を試みてみた。交流(周波数:1 MHz、電圧:30 V)を20秒間流し、直流パルス(電圧:350 V、パルス間隔:30 μ秒)を3回かけてみたところ、交流によって、パールチェーンは形成できているようだったが、うまく細胞を融合することはできなかった。今後、さらなる条件検討が必要である。 併せて、ES細胞の脱核を試みるために、マウスES細胞懸濁液にサイトカラシンBを添加し、Ficollを用いて濃度勾配遠心を試みた。サイトカラシンBの濃度として、1、5、10、25、40 μg/mlを用意し、Ficollの濃度濃度勾配は30、25、20、15、10 %の濃度を用いて作成したが、残念ながら、遠心機器トラブルによって実験を行うことができなくなった。修理に多額の費用が掛かるため、遠心分離による方法は、現在、実施できない状況にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスES細胞の機能増強という挑戦的コンセプトを確認するために、初期化因子を導入したものの期待したような結果とならなかった。 また、細胞の脱核も、使用機器が故障してしまい、修理に多額の費用が掛かるため、遠心分離による方法は、現在、行うことができない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
ES細胞の核を入れ替えるというコンセプト自体の新規性は間違い無いものの、4因子の導入では未分化マーカー発現の増強は確認できなかった。 未分化マーカー遺伝子発現の増強が「初期化能力の強化」には必ずしも繋がらない可能性もあるが、ES細胞の分化能などの機能に与える影響は興味深いと考えている。 今後は申請書に記載した計画に基づき、4因子を導入したマウスES細胞同士を融合し、より多くの細胞体を得る試みを続けていく。 さらに、そのマウスES細胞の脱核にも引き続き取り組んでいく予定である。
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