研究課題/領域番号 |
21K19915
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堺 裕輔 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10608904)
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研究分担者 |
江口 晋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80404218)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 肝臓 / ECM / 構造タンパク質 / スポンジ / ニードル / 肝再生医療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、肝臓由来細胞外マトリックス(L-ECM)を基盤とした細孔制御スポンジニードルを開発し、肝臓表面に穿刺して着脱可能な肝組織を作製することを目的とする。L-ECMの濃度、スポンジ作製プロセス等を最適化してL-ECMスポンジの細孔を制御すると共に、肝臓表面に穿刺可能なニードル形状を設計する。肝臓からの液性因子供給、肝細胞増殖と立体組織化、細胞拡散を防止して完全にグラフト除去できる安全性を兼ね備えた肝再生医療を創出する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、3%アガロースを基本として、アガローススポンジニードル基材を作製した。ここでは作製工程における凍結乾燥法を見直した。厳密に温度をコントロールできる設備を新規に導入することにより、緩やかに凍結して緻密な氷晶を作製した後、真空状態で凍結乾燥することで均一に作製し得るプロセスを確立した。より低侵襲な基材の開発を実現するために、3Dプリンタ出力物や金属製のニードル鋳型を用いることで、設計の異なるアガローススポンジニードル基材を作製した。走査型電子顕微鏡(SEM)による構造解析によって、高さ0.4~1.4 mmのニードルを有し、表面はフィルム状、内部は多孔質構造であることを明らかにした。また、肝細胞の機能発現や増殖に寄与する増殖因子と同等の分子量であるシトクロムcやBSAを用い、基材内に拡散供給可能であることをin vitroで明らかにした。マイクロCTで内部の孔サイズを観察したところ、いずれの部位でも同様の大きさであった。 スポンジニードル基材をマウス肝臓表面に穿刺し、ラット初代肝細胞を基材上面より播種すると共に細胞の漏出を防ぐためにコラーゲンゲルでコーティングした。移植1日後の組織学的評価では、ニードル基材が肝臓表面の漿膜を貫いて固定されており、基材内部に肝細胞が保持されていた。本基材は、マウス肝臓への穿刺、及び肝細胞の移植に成功した。 さらに、高さ0.4、0.9、1.4 mmのニードルを有する基材をマウス肝臓表面に穿刺し、1週間移植した。いずれのニードル基材も肝臓表面に穿刺されたまま固定されており、出血なしに除去することが可能であった。この結果より、移植細胞に腫瘍化等が生じた際には、低侵襲かつ完全に移植細胞を除去できることが期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スポンジニードル基材を作製するための基盤技術はおおよそ予定通りに進めていたが、本来予定していたコラーゲンやL-ECMを利用した基材作製は遅延している。ブタ肝臓由来ECMの調製は進めているものの、安定的な作製に時間を要している。一方、観察研究を実施するために臨床研究倫理委員会からの許可を得ており、ヒト検体の利用は進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
アガローススポンジニードルを基盤として、コラーゲンや肝臓由来ECM(L-ECM)を細孔に複合するハイブリッド基材の作製を目指す。肝臓由来細胞外マトリックスを基盤とした細孔制御スポンジニードル(L-ECM/PcSN)に初代肝細胞を高密度培養し、肝障害モデルマウス肝臓表面に穿刺する。免疫組織化学染色やELISAを利用し、組織サイズ、細胞分裂(Ki67等)、マウス血漿中の肝特異的ラット及びヒトタンパク質(アルブミンや凝固因子等)を解析し、生着効率や肝細胞増殖、肝組織化、肝機能発現を定量評価する。TEMやリアルタイムRT-PCR等を利用し、生体肝臓に近い構造や肝細胞極性(肝毛細胆管や肝類洞等の微小構造、肝トランスポーター等の発現)の再構築を明らかにする。免疫細胞や炎症性細胞等からの隔離による移植肝細胞の生着率向上(免疫拒絶抑制)と、肝細胞の拡散防止による完全なグラフト除去を達成する。得られた成果を学術論文にまとめ、国際学術誌に投稿する。
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